丸山薫全集が古本で手軽に入手できたので、
まずは、思い浮かぶあれこれ(笑)。
丸山薫は、学校を退学したり、
留年を繰り返していたようです。
思潮社「現代詩文庫 丸山薫詩集」の
年譜や解説・貝塚茂樹「旧友の年賀状」でも
そのことに、簡単に触れられております。
その経歴を思い描きながら、
あらためて、この詩を読む。
学校遠望 丸山薫
学校を卒へて 歩いてきた十幾年
首(かうべ)をめぐらせば学校は思ひ出のはるかに
小さくメダルの浮彫のやうにかがやいてゐる
そこに教室の様々が瓦をつらねてゐる
ポプラは風に裏返つて揺れてゐる
先生はなにごとかを話してをられ
若い顔達がいちやうにそれに聴入つてゐる
とある窓辺で誰かがよそ見をして
あのときの僕のやうに呆然こちらを眺めてゐる
彼の瞳に 僕のゐる所は映らないだろうか?
ああ 僕からはこんなにはつきり見えるのに
これは、「物象詩集」に入っておりました。
年譜によると昭和16年2月「物象詩集」を刊行とあります。
教室の窓といえば、もうひとつ思い出す詩があります。
昭和21年「少国民世界」7月号に載り、
昭和23年少年少女詩集「青い黒板」として刊行された
中に入っている詩です。
唱歌 丸山薫
先生がオルガンを
おひきになると
オルガンのキイから
紅い
青い
金色の
ちがつた形の小鳥が
はばたいて出て
くるくる
ぼくたちの頭の上を
まわりはじめた
教室の 高いところの
窓ガラスが一枚 こわれていて
やがて 小鳥たちは
そこから
遠い空へ逃げていつた
年譜によりますと、
大正14年26歳で東京帝国大学国文科入学。
昭和3年29歳で大学を中退。
はい。丸山薫は明治32年生まれ。
この頃にはどなたがいたか(笑)。
と見回せば、
中村草田男が明治34年生まれ。
司馬遼太郎の「『昭和』という国家」(NHK出版)に
中村草田男について、語られている印象的な場面がありました。
最後に、その引用。
「『降る雪や明治は遠くなりにけり』
草田男は明治34年の生まれでしたか、松山の人であります。
大学生であることを30歳ぐらいまで続けていた暢気な人でした。
たしか私は草田男の文章で読んだ記憶があるのですが、
青山付近を通っていて、青山南小学校の生徒たちが
ランドセルを背負って校門から出てくるのを見ながら、
この俳句が浮かんだと。
それ以上のことはよくわかりません。・・・
それを草田男が感じたのは、昭和6年だった。・・」
(p163)
まずは、思い浮かぶあれこれ(笑)。
丸山薫は、学校を退学したり、
留年を繰り返していたようです。
思潮社「現代詩文庫 丸山薫詩集」の
年譜や解説・貝塚茂樹「旧友の年賀状」でも
そのことに、簡単に触れられております。
その経歴を思い描きながら、
あらためて、この詩を読む。
学校遠望 丸山薫
学校を卒へて 歩いてきた十幾年
首(かうべ)をめぐらせば学校は思ひ出のはるかに
小さくメダルの浮彫のやうにかがやいてゐる
そこに教室の様々が瓦をつらねてゐる
ポプラは風に裏返つて揺れてゐる
先生はなにごとかを話してをられ
若い顔達がいちやうにそれに聴入つてゐる
とある窓辺で誰かがよそ見をして
あのときの僕のやうに呆然こちらを眺めてゐる
彼の瞳に 僕のゐる所は映らないだろうか?
ああ 僕からはこんなにはつきり見えるのに
これは、「物象詩集」に入っておりました。
年譜によると昭和16年2月「物象詩集」を刊行とあります。
教室の窓といえば、もうひとつ思い出す詩があります。
昭和21年「少国民世界」7月号に載り、
昭和23年少年少女詩集「青い黒板」として刊行された
中に入っている詩です。
唱歌 丸山薫
先生がオルガンを
おひきになると
オルガンのキイから
紅い
青い
金色の
ちがつた形の小鳥が
はばたいて出て
くるくる
ぼくたちの頭の上を
まわりはじめた
教室の 高いところの
窓ガラスが一枚 こわれていて
やがて 小鳥たちは
そこから
遠い空へ逃げていつた
年譜によりますと、
大正14年26歳で東京帝国大学国文科入学。
昭和3年29歳で大学を中退。
はい。丸山薫は明治32年生まれ。
この頃にはどなたがいたか(笑)。
と見回せば、
中村草田男が明治34年生まれ。
司馬遼太郎の「『昭和』という国家」(NHK出版)に
中村草田男について、語られている印象的な場面がありました。
最後に、その引用。
「『降る雪や明治は遠くなりにけり』
草田男は明治34年の生まれでしたか、松山の人であります。
大学生であることを30歳ぐらいまで続けていた暢気な人でした。
たしか私は草田男の文章で読んだ記憶があるのですが、
青山付近を通っていて、青山南小学校の生徒たちが
ランドセルを背負って校門から出てくるのを見ながら、
この俳句が浮かんだと。
それ以上のことはよくわかりません。・・・
それを草田男が感じたのは、昭和6年だった。・・」
(p163)