昨年は、ネットの『日本の古本屋』さんのお世話になりました。
いつもながら、『日本の古本屋』で、著者名検索をすると、
その著者の単行本はもちろん、雑誌やアンソロジーなどまで、
一堂に検索できるのが頼もしく、あれこれと選べるうれしさ。
また、全集などを注文する際『日本の古本屋』さんの検索が
昨年はたいへん助けになりました。神保町や早稲田の古本屋さんも
ラインナップに並んでいたりすると古本屋さんを直に巡るようです。
そこで、橋本倫史著「東京の古本屋」(本の雑誌社・2021年)を
ひらいてみる。ネットで古本を注文するだけの私ですが、
実際の古本屋さんの様子は、どうなのかという興味から。
本にはランダムに日付がある。さっそく1月の箇所をさがすと、
1月17日(金曜)盛林堂書房という箇所がある。そこから引用。
「今日から3日間、西荻窪の『盛林堂書房』の見習いとして過ごす」(p32)
とあります。
「 『 おはようございます。さっそくですけど、荷物を置いてもらって、
開店作業を手伝ってもらいます 』。 挨拶そこそこに、
仕事に取りかかる。まず、店の外に並べる百円均一の棚を、
スタッフのふみさんと小野さんのお母さんがふたりで配置する。
棚を出し終えると、そこに百円に値付けされた均一本を運び、
並べてゆく、本を並べたままだと重くて運べないから、
毎日棚から外し、並べ直している。
『 ここに積み上がっているのが均一のネタなんですけど、
これをそのまま並べると昨日と同じ配置になっちゃうから、
並びが入れ替わるようにランダムに持ってきてください。
そうすると、3日前には右の棚に並んでいた本が、
気づいたら左の棚に入っていたりする。
風景が変われば見方も変わるから、毎朝この作業をやってるんです 』 」
そして、ハタキがけがあって・・
「 『 じゃあ、次は棚を整えましょう。これはうちの特徴なんですけど、
棚から本が少し出てますよね 』。
言われてみると、『盛林堂書房』の棚は、本を奥まできっちり
押し込むのではなく、棚板の手前にせり出すように並べられている。
『 うちの先代は、池袋にあった『高野書店』に丁稚で入って
古本屋になった人なんだけど、『高野書店』の棚がこのやりかた
だったんです。お客さんが本を棚に戻すとき、
ほとんどの場合はこうやって奥まで押し込みますよね。
そうすると、お客さんがどの本を手に取ったのか視覚的にわかるから、
≪ この棚はよく触れられているのに、動いてないな ≫と
客観的に見れるんですよね、それがわかると、
お客さんはどうして買わなかったのか――値段が高かったのか、
状態が悪かったのか――分析できるんです 』
でこぼこになっていた棚をきれいに揃えているうちに、
開店時刻の11時を過ぎている。・・・・ 」(~p34)
はい。こんな感じで目次をひらくと12軒の古本屋さんが登場しております。
はい。新年早々もう、私は満腹で、他の古本屋さんへはうかがえないなあ。