映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

日本経済と円高に思う

2010-08-23 21:23:34 | Weblog
最近の日経新聞を見ていると、日本の衰退が顕著に見えてくる。
正直この先どうなるのかが気になってくる。

1$85円あたりに相場が定まってきた。一瞬だけ85円あたりをつけて反発するのではなく、寝城を定めてきた印象がある。最近の記事を読んでも、日本は円高に対して無策で、米国債の国家主導での買いが続く米国の円安政策になにもなすすべがないように書かれている。
ユーロはギリシャだけでなくスペイン、アイルランドなどの景気の悪い国の問題が足を引っぱってドル円相場よりもここ数日は軟調だ。しかし、それを一番喜んでいるのはユーロ圏で一番の経済大国であるドイツである。ドイツ企業の決算は好調のようだ。
ウォン安を享受して抜群の決算数字となったサムソン電子のように、ユーロ安は本音で大歓迎であろう。
今の日本はそれを指をくわえてみているしかない。

アメリカが90年代以降70%程度の物価上昇率になっているのに対して日本は10%程度で、ドルの通貨価値の下落による相対的な円高は経済の当然の道理だ。しかも相変わらずデフレが続く中、金利にもう下げ余地はほとんどない。日銀総裁と首相が話しても円高に対してたいした策もないはずだ。
同じものを買うのにいくらかかるかという発想で為替交換比率をたたく「購買力平価」でいくと、今の日本の水準は95年に1$80円を一瞬切ったときとは違うようだ。
あのときの1$80円は今の1$50円台半ばと同じだという。
世界のビックマックの価格で為替水準をだす「ビックマック指数」で言うなら、今回の200円セールでは1$53円程度になるらしい。

本当に1$80円を大きく割ったとき日本はどうなるであろう。

一昔前と大きく変わったのが、新興国が発展途上国ではなく市場で同等に近いレベルに戦える国になったことだ。
大学のとき、経済政策の授業があった。おもしろい授業だったのでめずらしくまじめにでていた。
そのとき教授がエッジワースの箱という経済学の道具を使って発展途上国への援助について説明していた。
発展途上国は無差別曲線が重なり合う「貿易」というゲームに入ることができないので、彼らを援助してプレイヤーとして参加させることが重要だということだった。
今はその発展途上国のレベルがものすごく上がった。競争市場のプレイヤーとしてみれるようにもなっている。新興国に市場があることだけで日本は助かっている。
経済発展してもまだ賃金は安い。円高が続くようならますます日本で物をつくるという議論ではなく、現地にて円換算でより安い労働力を使って固定費の削減を図ることを考えるであろう。ますます日本の雇用が厳しくなる。
アメリカもリーマンショック以降失った840万人の雇用が、65万人しか取り戻せていないそうだ。それは単純労働が海外に移っているからだ。日本も同じことだろう。

中国と日本では少し前までは社会主義国家と資本主義国家という大きな違いがあった。
今は一党支配による資本主義と政党乱立の資本主義国の違いとなった。
一党支配であるから、今の日本の政治家のような足の引っ張り合いがない。
決断がスムーズに末端まで伝わる。これはすばらしいことだ。
しかも、日本のようにつまらないコンプライアンスにこだわっている連中なんて
中国にはいやしない。みんな一生懸命に働く。
ある意味うらやましい。

GDPは今年中国に抜かれる。このあとはずっと差をつけられる。
ゆとり教育で若者の能力は低下傾向をたどる。しかも日本企業が外国に労働力を求めたら国内の正社員の雇用は大きくは増えない。日本の衰退はずっと進んでいく。

これを変えるのはただ一つ。私は大連立による強固な国家体制の樹立しかないと思う。
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サッド・ヴァケイション  浅野忠信

2010-08-23 20:50:05 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
青山真治監督による北九州市を舞台にした人間ドラマである。キネマ旬報の2007年ベストテンで4位に入る作品ということでみた。浅野忠信、宮崎あおい、オダギリジョーをはじめとして近年活躍する若手俳優にベテランを組み合わせた映画である。序盤戦が意味不明で何が何だかよくわからない。途中からいいテンポになるけど、過剰評価の映画だと思った。



中国人の密航を手助けした浅野忠信は、中国人の少年を預かることになる。幼馴染の妹とその少年を養うため北九州市内で運転代行をしていた。ある日、浅野が仕事で送った先の運送会社の事務所で、5歳のときに自分を捨てていった母こと石田えりを目撃する。その後浅野は母親を訪ねる。母親は笑顔で息子を迎える。そして運送屋に住み込んで一緒に暮らさないかと提案する。中村嘉津雄が社長を務めるその運送会社はさまざまな過去を持つ人たちがたくさん働いていた。実際、割とたやすくその中に入っていけた。しかし、石田えりがその後生んだ高校生の弟は反抗期のせいかなついてはいかないが。。。



映画が始まってしばらく聞き取りにくいセリフが続き、ボリュームをかなり高く上げても何を言っているのかわらない。石田えりが出てきたあたりからようやくぼんやりと見えてくる。それまではよくわからない。監督がコーエン兄弟ならこの序盤は20分以内で駆け抜けるであろう。何でこんなに回りくどくするのであろうか?これが青山監督の思い上がりだと推定される。あまり評価できない。1時間近くたってからようやく映画らしい展開になってくる。福岡弁がなじみやすく聞けるのだけが救いだ。
浅野忠信は好演だと思う。宮崎あおい、板谷由夏など女優陣が健闘するが、二人はセリフが不足していて活躍の場も少ない。もったいない。

青山監督の映画づくりとはちょっと合わないなあといった感じだ。
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