映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画 人間失格  生田斗真

2010-08-14 21:40:58 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
あまりも有名な太宰治の小説「人間失格」を映画化した作品。

普通に教育を受けた人ならこの本の存在は知っているだろう。中学校の教科書に載っている「走れメロス」と違って、読み切った人は意外に少ない気がする。少年のころの自分も途中で何度も挫折した。その気持ちがよく理解できなかった。今は自虐的というよりも徹底的にいい加減な主人公はよくまあここまで堕ちたものかと思わせ、かわいいと感じる。
今回荒戸清次郎が監督ということで観た。前作『赤目四十八瀧心中未遂』はたぐいまれなる傑作であった。あの異常世界の表現は日本映画の最高峰に位置する映画と今でも思っている。それで期待した部分もあるが、正直あの作品ほどではなかった。男前の主人公生田斗真をはじめとして、荒戸作品の常連である大楠道代や寺島しのぶなど配役はイメージ通りだと思う。三田佳子にはちょっと驚いた。




津軽の大金持ちに生まれた主人公こと生田斗真は、姉だけでなく従兄の女の子をはじめとしてたくさんの女性に囲まれて育っていた。どことなく頼りない性質をもった彼は上京して絵画の道に入ろうとする。しかし、金持ちのボンボンであることで、周りからたかられる。そして酒、女に付き合わされる。カフェの勘定も全部もたされる。しかし、家庭の事情で東京にある豪邸は売られることになり、本郷の下宿に住むようになる。そこの大家さんの女性をはじめとして、カフェの女給寺島しのぶ、編集者の小池栄子や石原さとみなど次から次へと女ができる。売れっ子漫画家ではあるが、はてしなくぐうたらな生活に堕ちていくのであるが。。。

中学3年の娘の教科書には相変わらず「走れメロス」が載っている。魯迅の「故郷」も同様だ。30年以上たっても、教科書の内容が変わらないというのは国語教師たちの怠慢なのであろうか?「走れメロス」を読めと生徒たちに言っても、「人間失格」を読めとは言わないだろう。同一人物が書いたとは思えないから。
「走れメロス」で試験問題出したとして、文学史の問題で太宰治のほかの作品なんて出題はありそうだ。その時は「ヴィヨンの妻」か「人間失格」が選択肢にあげられるかも?でも、もし読めという中学教師がいたら、「こんな男になっちゃいけないよ」と道徳的な見地で言うのかもしれない。でもそれはもっと大人に言う話だろう。
ここまでいい加減になりきれればそれはそれで楽しいかな?

「ヴィヨンの妻」は松たか子に強くスポットをあてていた。同じようにいい加減な感じを主人公が演じていても違う感じがした。役者の格は浅野忠信の方がはるかに上だが、生田斗真の方が太宰らしい気がした。そうおもわせるところに主人公に素質があると私は考えた。それとも脚本、演出の勝利かな?
コメント
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