映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

グロリア  ジーナ・ローランズ

2010-11-04 20:10:54 | 映画(洋画 89年以前)
「グロリア」は1981年のヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞作。
強い女性を描いた作品として名高いが、DVDで見る機会がなかった。ツタヤの特選作品に入り、レンタル可能になった。初めて観たが、評判通りジーナローランズのカッコよさと演出、撮影の素晴らしさに感嘆した。



ニューヨークのダウンタウン、ヤンキースタジアムのすぐ近くのアパート。その一室でプエルトリコの家族の中の主人がおびえている。マフィアの重大な秘密を売ろうとして狙われていることがわかったからだ。その妻は友人である中年女グロリアことジーナローランズに息子フィルを預ける。一家は惨殺された。しかし秘密が書かれた手帳を少年が持ち出していたことを知ったマフィアは少年を取り戻そうとする。マフィアは彼女を追い始める。グロリアは生意気な少年を見捨てようとするが、次第に母性本能が芽生える。彼女はニューヨークを逃げまわるが……。

この映画をみると、治安が悪いといわれた70年代から80年代にかけてのニューヨークダウンタウンの世相もよくわかる。
リュック・ベッソン「レオン」の原形とも解説に書いてあった。惨殺劇があるアパートの雰囲気が確かに似ている。しかし、男女を入れ替えただけという訳ではない。レオンのジャンレノはゴルゴ13ばりのプロの殺し屋であった。グロリアは違う。マフィアに近い筋であったが、普通のおばさんのノリだ。徐々に母性に目覚めてくる。保護本能だけでマフィアに立ち向かう。
もともとはマフィアと関係があったグロリアには、みな一目を置いている。であるから彼女を見つけても、マフィアは一瞬どうしていいのか考えてしまう。やくざの姉さんのようだ。


そのジーナローランズを手持ちカメラで追いかける。マフィアの一味に拳銃をブッ放つシーンはド迫力。 一番すごいと思ったのは、地下鉄の電車の中で、マフィア数名を拳銃で脅しながら子供と一緒に駅で電車を降りるところを手持ちカメラで追いかけるシーンだ。このアップの撮影にはドッキリさせられた。

でも夫であるジョン・カサヴェテス監督は一家惨殺のシーンは撮っていない。ジーナローランズの激しさとは逆にタランチーノ的な残虐さはない。何か意味があるのであろうか?
コメント
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