映画とライフデザイン

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マルホランド・ドライブ  デイヴィッド・リンチ

2010-11-29 20:29:37 | 映画(洋画:2000年以降主演女性)
解釈が何通りにもできる映画ってある。
日本でいえば黒澤明の「羅生門」(原作は芥川の藪の中)のように何通りにも解釈できる。
鬼才デイヴィッドリンチ監督「マルホランドドライブ」はまさにその最頂点に立つ映画である。彼の「ロストハイウェイ」も同じようなタッチであるが、この映画の方が凄味がある。魔都ハリウッドを舞台に一人の女優志望の女性が事件に巻き込まれる。そこには「イヴの総て」「サンセット大通り」などハリウッドの裏舞台に注目した映画と同じ匂いがする。奇怪なムードを全面に出すと同時にエロチックな匂いで味付けさせて最高の映画としている。独特の世界を持つデイヴィッドリンチ監督の最高傑作だ。



真夜中のマルホランド・ドライブ。車の助手席に座る女ことローラ・エレナ・ハリングは、突如運転手に殺されそうになる。ところがその時若者の車が暴走してきて、車は激しく激突される。車が燃え上がると同時に女は車から一人で去っていく。
叔母を訪ねてハリウッドにやってきた女優志望の主人公ことナオミ・ワッツは、部屋にいたリタと名乗る女を叔母の友人と思い込んでしまう。それは車から立ち去った女ローラ・エレナ・ハリングであった。彼女はハリウッドの坂を下りて、高級アパートの一室に忍び込んできだ。ところが叔母からの電話ではそんな女性はいないと、問いただすと彼女は記憶をなくして部屋に紛れ込んだのであった。同情したナオミは彼女の記憶探しに乗り出す。一方で女優への登竜門のオーディションが大成功するが。。。

あえてネタばれにして、この映画の秘密に迫る展開にしても面白いとおもった。でも実際映画を見直してみても難解で何が真実であるのかよくわからない。夢の中にいるような世界である。かといってオカルトやファンタジー系でもない。これがリンチワールドといわれるところだろう。もっとも監督も見るものを幻惑させるような展開にあえてしているのではないか。

二人の対照的な美人を登場させたことがこの映画の魅力の一つである。

ナオミ・ワッツはこの映画をきっかけに、スターへの道のりを一直線に進んだ。現在42歳、この映画は30代前半のころだったはずだ。見かけよりもかなり若く見える。スレンダーな体にかわいい顔が特徴だ。ブロンドヘアが50年代くらいのハリウッドスターを連想させる。ヒッチコック監督「知りすぎた男」のドリスデイが似ている?割と映画では脱ぐシーンが目立つ。「21グラム」でもショーンペンと交わった。ここではもっと驚かせるシーンがある。


ローラ・エレナ・ハリングはナオミ・ワッツと対照的な豊満なバディを持つ美しい女性である。ハリウッドスターという設定が似あう。元ミスアメリカでメキシコ系で、たとえれば叶姉妹の妹風ゴージャスな雰囲気だ。彼女も映像で驚かせる。ナオミとローラの関係は複雑に絡み合って、正直今もよくわからないが、観ている分にはかなり楽しまさせていただいた。デイヴィッドリンチ監督は豊満なバディを持つ女性がお好きなようだ。他の映画でも同様に頻繁に豊満な裸体の映像を見せる。

芥川龍之介の「藪の中」は何度読んでも真相はわからない。この映画の真実も同様に藪の中であろう。
コメント
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