映画とライフデザイン

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映画「山河ノスタルジア」 ジャ・ジャンクー

2017-01-09 06:43:17 | 映画(アジア)
映画「山河ノスタルジア」は2016年日本公開の中国映画


ジャ・シャンク―監督の作品はとりあえず見ているが、世間の評価ほど好きというわけではない。前作「罪の手ざわり」が現代中国の暗部に踏み込んでいる分興味を持ったが、ちょうど頭の回転が悪い時期でブログにアップできていない。今回も気がつくとDVDスル―だけど、前作同様重層的な映画である。

小説にするなら、かなり枚数を割かなければならないものを2時間強にまとめるとなると、セリフもかなり省略しなければならない。観客に類推してもらわねばならないことも多い。いくつかの中国映画をみてもこういうことが多い。とはいうものの映像で状況を示すというわけではない。見ようによってはむずかしく感じる人もいるのではないか。

1999年、山西省・汾陽(フェンヤン)。小学校教師のタオ(チャオ・タオ)は、炭鉱で働くリャンズー(リャン・ジンドン)と実業家のジンシェン(チャン・イー)の、二人の幼なじみから想いを寄せられていた。


ある日、リャンズーの勤める炭坑を買収したジンシェンが、リャンズーに迫る。「タオと距離をおいてほしい」と。リャンズーは答えない。結果、タオは裕福なジンシェンを選ぶ。タオは、リャンズーに結婚式の招待状を届けるが、リャンズーは、静かに汾陽を去る。やがてタオは息子・ダラーを授かる。

2014年。河北省。リャンズーは、炭坑での重労働で体を壊す。妻子ともども、15年ぶりに、リャンズーは汾陽に戻ってくる。タオはジンシェンと離婚し、一人汾陽で暮らしていた。タオとリャンズーが再会する。リャンズーの病はかなり進行していた。
ある日突然、タオの父親が死ぬ。タオは離れて暮らす上海にいるダラーを葬儀に出席するために呼び寄せる。国際学校に通うダラーは、タオを「マミー」と呼ぶが、タオは違和感を隠せない。

2025年、オーストラリア。19歳のダラー(ドン・ズージェン)は長い海外生活で中国語が話せなくなっていた。父親と確執がうまれ、中国語教師ミア(シルヴィア・チャン)との出会いを機に、かすかに記憶する母親の面影を探しはじめる―。


ペット・ショップ・ボーイズの「ゴー・ウエスト」を主役のタオがみんなと一緒になって踊るシーンからスタートする。時代が違うのか、自分にとって「ゴー・ウエスト」ヴィレッジ・ピープルの曲のイメージしかない。まじに映画の終りまでそう思っていた。それが最後の最後まで使われる。何か意味があるのであろうか?わからない。

95年の香港返還のあたりでは、まだまだ香港あたりで見る大陸人は本当にドンくさかった。その名残が残る山西省の生活といった感じだけど、ジャ・シャンク―にとっても想い出深い曲なんだろうか?


1.印象に残ったシーン1

山西省・汾陽でタオは2人の幼なじみと親しい。むしろ炭鉱で働くリャンズ―に好意を寄せている匂いもある。でも結局リャンズ―の勤務先である炭鉱を買収してしまうジンシェンと結婚する。ジンシェンとの結婚式の招待状をタオはリャンズ―に渡す。元々三人は親しいからというわけだろうが、普通はどう考えても行かないでしょう。この場面は複雑な感じを持つ。


その後10年以上たち、別の地で炭鉱夫として働くリャンズ―の体調が思わしくない。美しい妻を得て、子宝にも恵まれたリャンズ―は故郷に帰る。昔住んだ家は荒れ果てたまま残っている。なぜか、タオにもらった招待状が残されている。魯迅の「故郷」を読むような心境になる。入院しようにも金がない。その金は誰かに借りねば調達できない。リャンズ―の妻はタオに借りに行く。タオは快諾して貸す。

ドライな中国人をいつも見ている自分からすると、この設定は意外である。タオの心の奥底に悪いことしたなあという思いがあったのだろう。観客にその思いを想像させるシーンである。

2.印象に残ったシーン2
結局タオは離婚し、男の子の親権は夫になる。タオは故郷にいるが、生活の向きは悪くない。多額の慰謝料をもらったのであろう。99年の場面ではタオはいつも同じ服を着ているが、ここではサンローランの高級バッグを持っている。そんなタオの父が亡くなり、葬儀にタオの息子が飛行機で来る。上海の国際学校へ行っているので英語を話す。母親のことをマミーといい、中国語で話さずにタオに怒られる。でも幾日かの滞在を経て、上海に帰る。


上海への飛行機の切符は父親が購入していたが、タオは拒否して列車で連れて帰ろうとする。中国の列車は時間が不規則だし、時間がかかる。何でこんなにゆっくりなの?と息子は不思議がるが、あなたとずっと一緒にいたいからよと母親が言う。そしていつでも帰っていいからと家の鍵を渡す。この思いはジーンとくる。ジャ・ジャンクー自身が経験した思いがあるらしい。

3.印象に残ったシーン3
大きくなったダラーは、英語しか話せない。中国語を学ぶため学校に通い。中国人教師と親しくなる。
この中国人教師はシルヴィア・チャンである。その昔美人だった彼女も63歳といい年だ。もうババアといってもいい雰囲気だ。でもダラーは好意を寄せ、ダラーと中国人教師がベットで一夜を過ごすシーンが出てくる。でも、ちょっとこれはやりすぎじゃない。


普通、25歳くらいまでの男はいくら上でも30歳前後くらいまでの女しか自分の対象として見ないでしょう。それこそAVでよく見る母子相姦やババアが大学生を誘惑するそんなシーンに見えてしまう。これをやるんだったら、最低でもチャオ・タオよりちょっと上の年齢の女を出演させたらいいのでは?気持ち悪い。

山河ノスタルジア
中国人にも情があったのかと思える作品
コメント
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