映画とライフデザイン

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映画「タッカー」 ジェフ・ブリッジス&フランシス・コッポラ

2020-05-23 23:00:13 | 映画(洋画 89年以前)
映画「タッカー」は1988年のアメリカ映画


え!こんな映画あったの?このブログでもいくつも取りあげているジェフ・ブリッジスフランシス・コッポラが組んだ映画があるなんて知らなかった。これまでDVDで観たことなかったと思ったら、どうも久々に4K化で復活ということらしい。戦争が終わる頃、斬新なデザインの車を作ろうとするお調子者の自動車デザイナーであるタッカーが、自動車のビッグ3に目をつけられ詐欺者扱いされるという映画である。実話に基づいている。

斬新なデザインの車を生み出そうとするとする実在した男の物語というと先日観たジョン・デロリアンに似た話である。巨匠フランシス・コッポラがこんな映画つくったの?というのは驚くが、コットンクラブの失敗のあとのスランプが続いている時期の作品である。興行収入もイマイチだ。それでも、コッポラらしく金に糸目をつけない良き日のアメリカを再現した見事な美術とそれを映し出すオスカー三度受賞のカメラマンヴィットリオ・ストラーロの腕前に感心する。

1945年、デトロイト郊外で、プレストン・タッカー(ジェフ・ブリッジス)は自動車業界に身を置き、戦争中は装甲車をつくっていた。妻ヴェラ(ジョアン・アレン)と4人の子供達と幸せな日々を過ごしていた。タッカーはあっと驚くデザインの車を自社で作る決意をかためて、そのデザインをマスコミに公表した。完成予定の斬新なカーデザインに世間は驚き、一緒に車を作りたいという仲間も集まってきた。


元銀行家のエイヴ(マーティン・ランドー)からは投資家から資金を集めるためにもまずは試作車をつくることが先決と、技術者のエディ(フレデリック・フォレスト)たちとタッカー宅の隣にある倉庫で車の製作に入った。しかし、なかなかうまくいかない。それでも、ようやく「タッカー・トーピード」を作り上げて大々的な披露会を開催する。


その一方で、新車開発を密かに探っている連中がいた。自動車産業のビッグ3や、ファーガソン上院議員(ロイド・ブリッジス)ら保守的な政・財界は、ライバル出現にいい顔をしていない。トーピードはスピードが出るだけではなく、安全性や耐久性にもすぐれている車になりつつあった。

ところが、タッカーは寄せ集めのガラクタで車をつくっているというデマが流れる。しかも、本気で車を生産するつもりはなく、投資家から金をふんだくっていると詐欺者扱いをされ、マスコミから騒がれた。そして、裁判にかけられる。全ての疑惑を晴らすためにタッカーたちは50台の新車を期日までに完成させようとするのであるが。。。

1.色彩設計と美術の見事さ
1945年といえば、終戦の年、日本は空襲で廃墟のようになりつつあった。そんな時にアメリカではこんな素敵な家に住んで、豊かな暮らしをしているのかと思うと改めて国力の違いを感じる。まずはこのタッカー車がかっこいい。流線型のしなやかなデザインで、現代にも通じる色合いは上品である。当時としては衝撃的な車だったろう。今でも47台現存しているのがすごい。

後年オスカー主演女優賞を受賞するジョアン・アレンが着飾る姿が、その衣装も含めていい感じだ。古き良き時代のアメリカの豊かさを象徴する。ちょうど30代前半で美貌も絶頂のころで視覚面にもたのしめる。


2.お調子者のタッカー
ジョン・デロリアンと時代はちがうが、車のデザイナーっていうのはみんな遊び人でお調子者だなという感を強くした。2人とも斬新なデザインの自動車を設計して自社で生産をするという夢を実現しようとしてうまくいかない。デザインはできても詳細設計に入ると、車の乗り降りに問題が出る。ビッグ3に邪魔されて鋼材が調達できないなど問題が山積みだ。それでも、常に楽観的、そんなタッカーの調子の良さをジェフ・ブリッジスが巧みに演じる。

ラストに向けての「いつか我々は世界のナンバーワンから落ち、敗戦国から工業製品を買うことになる」という言葉が印象的だ。


彼の長いキャリアでは、自分が好きな「カリブの熱い夜」の4年あとで、ちょうどジャズピアニストを演じた「恋のゆくえ ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」の前年につくられている。役柄はちがうけど、どちらも似たようなものだ。

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