映画とライフデザイン

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映画「リスペクト」アレサフランクリン&ジェニファーハドソン

2021-11-07 19:31:41 | 映画(洋画:2019年以降主演女性)
映画「リスペクト」を映画館で観てきました。


映画「リスペクト」アレサフランクリンの人生をジェニファーハドソン主演で描く伝記的作品だ。自分の映画ベスト3の1つ「ブルースブラザース」の中で強烈な存在感を示している1人がアレサフランクリンである。映画の中で歌われている「シンク」を予告編でジェニファーハドソンが歌っているのを見て、早速映画館に向かう。

非常に感動した。圧倒的な歌唱力をもつジェニファーハドソンが素晴らしく、ウガンダの独裁者アミン大統領を演じてアカデミー賞を受賞したフォレストウィテカー演じる父親とつかず離れずの関係にやさしい父娘の交情を感じた。男運のないアレサフランクリンの人生の浮き沈みはまったく知らなかったので、興味深く映画に溶けこめた。自分の好きなタイプの作品である。



⒈シンク!
映画「ブルースブラザース」で刑務所を出所したブルースブラザースの2人が、もう一度バンドを組もうと堅気で仕事をしているミュージシャンのところをまわる。ギターリストのマットマーフィーとアレサフランクリンが夫婦でやっている「ソウルフード」という店にも勧誘に行くのだ。
「せっかく夫婦仲良くやっているのに、私を置いて出ていくのかい?」「よく考えろ!」と歌うのが「シンク!」だ。

このシーンは何度見ても滑稽でおかしい。女性バックコーラスを引き連れながら歌い、マットマーフィーに何度も「シンク!」と迫る店の厨房で働いているサックスプレイヤーもサックスを吹き出し、ブルースブラザースの2人も奇怪なダンスを踊りだす。歴史的迷シーンといえる。
シンク↓



この映画でも夫兼マネジャーのテッドと大げんかした後に、ステージで「不当に扱われたことのある人へ」とMCで一言言った後に「シンク!」をジェニファーハドソンが歌い出す。全世界の不良亭主をもつ女性への賛歌である。こればかりは訳詞を一度見てアレサフランクリンの歌声を聞くことをお勧めします。

最後のエンディングロールで、ブルースブラザースのダンエイクロイドとジョンべルーシとの記念写真を見たときには思わず涙が出てきた。

⒉リスペクトと誕生秘話
映画「ブルースブラザース2000」という続編が20年の月日を経て作られた。前作で出ていたアレサフランクリンやジェームスブラウンに加えてエリッククラプトンやBBキングなんてもの凄いメンバーも出演する。出てきたときは自分もおったまげた。その映画でアレサフランクリンは「リスペクト」を歌う。

映画では車のディーラーの社長になっていたマットマーフィー、アレサフランクリンの夫婦のもとにジョンべルーシ亡き後ダンエイクロイドが新制ブルースブラザースを引き連れもう一回バンドをやろうとやってくるのだ。そこで歌うのは「リスペクト」である。「私のおかげでここまでなったのよ!尊敬しなさい」とばかりに、大デブになったアレサフランクリンが歌う。これぞ、アレサフランクリンがメジャーに登りあがる全米ヒットチャート1位の曲である。


デビューした後のアレサフランクリンは、なかなかヒット曲が出ずに悩んでいた。アラバマ州の白人ミュージシャンと組むことになってようやく芽がでてくる。もともとオーティスレディングのヒット曲だった「リスペクト」をスタジオの中のセッションで、ゴスペル風、スイング風に緩急アレンジしながら試行錯誤して、アレサの姉妹のアイディアを取り入れ生まれて行ったのがアレサフランクリン流「リスペクト」である。人生の絶頂期に向かっての生産過程を見るのはこちらもウキウキして楽しくなる。


⒊男運のなさ
黒人のシンガーというと、育ちの悪さを想像するがアレサフランクリンは違う。アメリカンスタイルのきれいな一戸建に住んでいる。フォレストウィテカー演じる父親は超有名な神父さんである。幼少の頃からホームパーティをやると、デュークエリントンやエラフィッツジェラルドのような有名アーチストが家に遊びにくる。父親はキング牧師とも友達で黒人ハイソサエティというべき存在だ。そんなすごいメンバーの中で10歳のアレサが歌うシーンからスタートする。これは予想外だった。演じる少女の歌もうまい。

むしろステージパパというべき存在で、レコード会社にも圧力をかけてデビューしてしまうのだ。でも、アレサフランクリンはどうも男運がないようだ。アレサの子ども2人が家庭内にいるシーンがあり、その年号だとアレサが19歳なので一瞬何かの間違いかと思った。そうでないのが映画をずっと観ているとわかる。具体的な言及はないが、少女時代に妊娠して腹が大きい姿も映画で見せる。


でも、若い時に一目惚れしたテッドとの付き合いは切ってもきれないものとなる。どこかの国の皇室がらみの恋のように恋は盲目状態で、いったんはステージパパの父親から離れるが、結局はうまくはいかない。そういった男運のなさが映画の根底に流れる。


ジェニファーハドソンの歌はキャロルキングがつくった「ナチュラルウーマン」などどれもこれも良かった。聴きながら何度か感涙してしまった。ひとつだけ残念なのは自分の好きな「小さな願い」を最悪期にステージで歌い、ぶっ倒れてしまったこと。まあ仕方ないでしょう。
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