映画とライフデザイン

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映画「チネチッタで会いましょう」 ナンニ・モレッティ

2024-11-27 16:01:47 | 映画(欧州映画含むアフリカ除くフランス )
映画「チネチッタで会いましょう」を映画館で観てきました。


映画「チネチッタで会いましょう」はイタリアのベテラン監督ナンニモレッティの新作である。「映画の中の映画」の手法で自ら映画監督役となって1956年のソ連ハンガリー侵攻に戸惑うイタリア共産党員たちを描く役柄だ。5年に1作程度と製作本数は決して多くない。前作「3つの鍵」は高級アパートメントに暮らす三家族を描く作品でストーリー、美術、音楽すべてにおいてよくできていた。

予告編の音楽でアレサフランクリン「シンク」が流れる。自分の人生ベスト3のひとつ「ブルースブラザーズ」の町のダイナーからブルースブラザーズのメンバーを引っ張る名場面で、妻役のアレサフランクリン自ら演じて歌っているシーンは何度観ても楽しい。そんな雰囲気を期待して映画化に向かう。

ベテラン映画監督のジョヴァンニ(ナンニモレッティ)は1956年のイタリア共産党の苦悩を描く映画を製作中だ。ハンガリーからサーカス団が来ているのにソ連がハンガリーに侵攻してイタリア共産党の支部がソ連を支持するかどうかで大慌て。


そんなストーリーなのに、若いスタッフはイタリア共産党が存在したことすら知らない。チネチッタ撮影所で新作の撮影が始まると、党員役の主演女優が勝手にアドリブで演技するし、ジョヴァンニはイタリア共産党とソ連の確執を描く政治映画のつもりでつくっているが女優はこれって恋愛映画じゃないのと反発。フランス人プロデューサーは詐欺師だったと判明、長年プロデューサーとして支えてくれた妻は若手監督と組んで別の映画に気を取られている。しかも妻に別れを告げられる。にっちもさっちもいかない大ベテラン監督の悩みは尽きない。

イタリア映画らしいお遊びムードに満ちたブラックコメディ
ナンニ・モレッティ演じるベテラン監督は名声があるせいか何をやるにも自分勝手で独りよがりだ。長年連れ添った妻が別れを告げるのもわかる。立ち寄った妻の撮影現場で若手監督の演出に口を出す。撮影を止めてしまい気がつくと朝だ。若手スタッフとはギャップができてピントが狂いっぱなし。そんな自分勝手な老人監督は時代遅れ。でも、イタリア映画らしく色彩設計、美術、音楽の設計は抜群にいい。


結局カネの都合がつかないのだ。フランス人プロデューサーがNetflixの担当者を連れてくるところがおかしい。ネットフリックスは作品が190カ国で見られると強調し、最初の掴みは2分ぐらいでとかターニングポイントにも時間を気にする。指図が多い。大幅な改変を要求するが、ジョヴァンニの流儀とまったくかみ合わない。受け入れ難くても所詮はカネ。現場はストップだ。でも、もうダメかと思った時に救世主が現れる。韓国映画資本だ。

日本映画界にもNetflixが入って「地面師」のようなカネのかかった良作が生まれている。いい傾向だと自分は思っている。でも、この監督のように受け入れられない人もいるだろう。もっと日本映画に資本が入ると、レベルが上がるんだろうといつも思っているけど、マイナー作品で閑古鳥の上映館を見るとむずかしそう。それに対して韓国映画には日本よりカネがかかっている作品が多い。雑誌「映画芸術」で荒井晴彦が久々におもしろかったという意味がわかった。

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