映画とライフデザイン

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映画「草原に抱かれて」

2023-09-29 05:10:37 | 映画(アジア)
映画「草原に抱かれて」を映画館で観てきました。


映画「草原に抱かれて」は中国のモンゴル自治区に住む認知症の母親とミュージシャンの息子の親子の交情を描く作品である。中国語原題は臍の緒(へその緒)である。親子のつながりを意味するということだろう。モンゴル国に面して、モンゴル人が約500万人居住する中国のモンゴル自治区がある。いったん都市部を離れると大草原地帯にはいる。文化大革命の頃から大量の漢人が入ってきて、今では自治区の80%は漢人でモンゴルの方が少ない。しかも、モンゴル人がひどい迫害を受けた歴史があるという。まったく縁のない世界に関心があり、この映画を選択する。

電子楽器のミュージシャンアルス(イデル)が久しく会っていない母親(バドマ)を訪ねて兄の家へ行くと、母は認知症が悪化して息子が誰だかわからなくなっていた。近隣にも迷惑をかけて兄夫婦は嫌気がさしている。そこで母親を連れて大草原地帯にある昔住んだ家に向かう。当然電気も水道もないところだ。そんなところでも、目を離すと外へ出て行方不明になってしまう。自分と母親に腰にひもをつけて行動する。近くに住む女性にも助けてもらいながら、ミュージシャンとしての創作活動の拠点を移す。


大草原の映像を観ると心がなごむ。
自宅の近所でも年寄りが行方不明になっているとの尋ね人の放送がよく流れている。息子の存在すらわからない母親はわがままで周囲に迷惑をかけている。お漏らしもしてしまうこともある。放っておくと外に出て行ったきり行方知れずになってしまう。かなり面倒な話である。でも、まるで幼児に戻ったような動きを見せる時がある。母息子をむすぶひもは見ようによってはへその緒だ。認知症なだけで裏のあるような人間ではなく、嫌気がするような映画ではない。


映画が始まる前に中国の映倫が承認しているという画面がでる。反体制的な動きはないと予想される。その通りだった。政治に関わる話、黒社会的要素が一切ない。面倒な姑を抱えた時の女の愚痴くらいでこれは万国共通だ。せいぜい葛藤が誰が認知症の母親の面倒を見るかでの兄弟の争いもかわいいもんだ。

緯度的には北海道と同じくらいか?場所によってはもう少し北か?地名は出てこない。冬場の撮影でないので、寒そうだけどは降っていない。気がつくと最後まで雨も降らない。果てしなく草原が続いていて、たまに牛や羊がでてくる。遙か遠くに地平線がみえる。監督は若手の女性監督チャオスーシュエだ。主役がベテラン女優なのでやりやすかったのでは?こんなのどかなところに行ったらどうなるんだろう。飽きちゃうだろうなあ。


最後に向けての結末は、本当だったらどうなっちゃうんだろう?
怪獣映画のような終わり方だった。

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