映画とライフデザイン

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映画「ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち」 ジェシー・アイゼンバーグ

2019-10-02 20:55:22 | 映画(洋画:2019年以降主演男性)
映画「ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち」を映画館で見てきました。


金融商品の0.001秒を争う超高速売買は素人投資家にとっては別世界、日経平均株価採用の大型株の値動きなどを見ても特に朝のうちは目まぐるしい。実際には自分たちがボードで見れる以上の動きをしている。ライバルの一寸先を行くためにウォール街の一角でより早い高速売買のシステムを構築している人がいる。この映画では高速回転売買でこうやって儲かるというのは特には語られない。高速売買用の回線を通すために奮闘する若き2人に焦点を絞る。

主演のジェシーアイゼンバーグといえばフェイスブックのマーク・ザッカーバーグを演じた映画「ソーシャルネットワークの早口セリフが思い出される。機関銃のように放たれるセリフを聞いて当時圧倒された。ウディアレンは自分と似た早口タイプと思ったのか、「ローマでアモーレ」「カフェ・ソサエティ」でジェシーを起用する。その特性が活かされる。

主人公は行動力があり、前進あるのみの男である。遠大な構想を実現するため計画を立て、スポンサーに取り入って資金を調達する。地上げも着実に実行して行く。働き方改革で軟弱になりきった若者と比較すると、こういう人物を見ていると気持ちがいい。

ヴィンセント・ザレスキ(ジェシー・アイゼンバーグ)と、従兄弟のアントン(アレクサンダー・スカルスガルド)は、ニューヨークで株の高頻度取引を進めるトレス・サッチャー社で働いていた。株の取引はミリ秒(0.001秒)単位の差で、莫大な損得が発生するので、システムを構築することに血眼になっていた。トレス・サッチャー社では、マイクロ波タワーの建設や光ケーブルを計画中だが、巨額となる予算などに難航していた。


ヴィンセントが思いついたのは、カンザス州にあるデータセンター近辺と、ニュージャージー州にあるNY証券取引所のサーバーまで、1,600kmの直線距離に光ファイバーケーブルを敷くことだった。シカゴとニューヨークの間での最短アクセスが可能になり、大金をもたらすという仕組みだ。

現在、17ミリ秒かかるアクセス時間を、16ミリ秒に縮めるだけで、このケーブルを使えば年間500億円以上の収益が見込めるはずだと、ヴィンセントは確信する。掘削とケーブル用のパイプ埋設のプロフェッショナルであるマーク(マイケル・マンド)とも手を組み、アントンと一緒に会社を辞めたヴィンセントは早速、ケーブルが通る土地を所有する、一万もの物件の買収に取り掛かった。

最初は不審に思った土地の所有者たちにも、高額の配当をちらつかせ、買収は順調に進んだ。水平掘削機によってケーブル敷設が進むが、直線距離で通過するアパラチア山脈は国立公園であるうえに、花崗岩を掘削するのが難しい。16ミリ秒を達成するのは不可能だと考えるアントンを横目に、ヴィンセントは大風呂敷を広げて政府にコネをもつ要人も説得。国立公園内を横断する掘削についての許可を取り付ける。


ヴィンセントとアントンが突然会社を辞めたことに、上司のエヴァ・トレス(サルマ・ハエック)は怒り狂っていた。ヴィンセントはともかく、ミリ秒短縮のアルゴリズム作成の天才であるアントンを手放したくないのだ。エヴァは退職後の彼らの行動を監視。カンザス/ニュージャージー間のケーブル計画を知る。

0.001秒を短縮するために、ホテルの部屋にこもりきりとなったアントンの居場所も突き止めたエヴァが、ヘリコプターで乗り込んで来た。そして、かつて社内の重要コードを持って退職した元社員に対し、FBIの力も借りて罪を着せ、エヴァはアントンを脅迫する。(作品情報 引用)

主人公ヴィンセントには葛藤がいくつもある。技術者である従兄弟のアントンに言うこと聞かせるのもストレスだ。
⒈元会社の上司からの妨害、⒉土地買収、⒊資金繰り、⒋予測が難しい工事進行状況、⒌病魔 このくらいストレス要因があれば、誰しもが身体を悪くするだろう。胃がんになってしまう。主人公には女の影はない。ひたすら仕事をするのみである。

54班に分けた分業とはいえ1万軒もの土地買収というのは半端じゃない。中には強行突破することもある。通させてくれないというのなら、30メートルより下の地下掘削を試みる。地下深くは石油などの利権がなければ普通の所有権とは別だというのだ。抵抗に遭いながら、深く掘る。配管工だったという父親の血筋をひいているがごとく。


いとこのアントンは超高速回転売買をするためのシステム構築に向けてチームを組んでいる。プライドの高い口うるさい女上司から叱責をうけながら、懸命に取り組んでいた。でもいとこのヴィンセントの勢いにおされ、カンザスからニューヨークの回線を通すためのプロジェクトに参画する。回線スピードを0.001秒単位で縮めるシステムサポートに着手する。うまく行く保証はない。狂気と紙一重のレベルでその才能を生かそうとする。

乱気流という言葉で取り乱すくらい飛行機が怖い。もともとは小心者で普通に娘をかわいがるいいパパなのだ。元の上司のプレッシャーにも耐えながら、技術面を請け負っていく。


最終的にはハンフリーボガード「黄金」イヴ・モンタン「恐怖の報酬」の匂いも感じさせる作品である。

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