映画「敵」を映画館で観てきました。
映画「敵」は筒井康隆の原作を吉田大作監督が長塚京三主演で作ったモノクロ作品だ。妻に先立たれた一人暮らしの77歳の元大学教授の日常を描いている。瀧内公美と紅白歌合戦の審査員までやった河合優実が登場する。2人とも何度もブログで取り上げたので気になってしまう。老人の日々の衣食住を丹念にカメラが追っていく。
渡辺儀助(長塚京三)は仏文の元大学教授で戦後間もなく建てられた広い古家に住む。妻(黒沢あすか)に先立たれて一人暮らしだ。まめに自分で料理をつくる。麺類が好きだ。書斎にはたくさんの本があり、軽い連載とときおりある講演依頼だけ受けている。修繕が必要な築年数なので、教え子が時折直してくれる。
教え子の女性鷹司靖子(瀧内公美)が相談を兼ねて尋ねてくると親身になって話をするし、デザイナーの湯島(松尾貴史)と立ち寄ったバーで働く仏文科の女子学生(河合優実)の境遇に関心を持つ。ひとときの安らぎだ。
そんな渡辺のパソコンにある時から「敵がやって来る」と不穏なメッセージが流れてくるようになり気になってしまう。
元教授のマメな日常を描くと同時に、ある時点から現実と虚実が交差して戸惑う老人をカメラが追う。
自分も徐々に年齢を重ねると主人公の動静が人ごととは思えない。筒井康隆は63歳の時にこの小説を書いたという。映画の途中まで、朝起きてから食事をつくって食べて余暇を過ごすところまで日常の生活を淡々と追っていく。電話連絡があるのは雑誌社の編集者からのようだ。人付き合いは多くない。預貯金があと何年持つかを計算しながら生活する。住むのは縁側のある古い日本家屋だ。子供がいない。見栄はなさそうだ。ぜいたくもしない。でも、教え子が来ることがわかるとワインを用意して準備万端だ。仏文の大学生がつくバーにもいく。そのくらいの金は問題ない。遺言書も用意している。
思ったよりも紆余屈折は少ないと思ったら、最終局面に向かって精神状態が安定しない状態を映し出していく。映像は現実と悪夢を交差させる。瀧内公美が来てごちそうとワインを振る舞うが、現実の場面かどうかをはっきりさせないシーンが続く。私としたいならハッキリ言ってくれればよかったのに。1人で私を思い浮かべてしているの?と言われてしまい苦笑する。黒沢あすか演じる亡くなった妻と主人公との幻のやりとりも増えていく。私以外の誰も愛さないと言ったじゃないかと虚実の元妻に責められる。もしかして、自分ももう少し歳をとるとこんな風に妄想に悩まされるのかと気になってしまう。
やはり30代半ばの瀧内公美がよく見える。この年齢って特に魅力的だ。主人公を頼りにする教え子の設定だ。元部下の女性がこんな感じで接してきたらどうなっちゃうんだろうと要らぬ妄想を自分が思い浮かべる。いけない、いけない。バーでバイトする女子学生河合優実とモリエールなどのフランス人作家の話をしている時が楽しそうだ。自分もそんな文学談義がしたくなる。でも、結局は主人公は騙されてしまう。
土曜日大学の部活のOB会が母校の食堂であった。現役1年生から80歳まで多数出席していた。ちょうど自分よりひとまわり上の先輩とこの主人公が同世代だ。ビジネス界で活躍された先輩たちも卒業以来OB会であっているが、横で見ていて年々歳をとっていくのがよくわかる。現実と虚実が交差しているようには見えなかったが、少しづつ老いが進展しているようだ。自分は恐れず老いを受け入れたい。
映画「敵」は筒井康隆の原作を吉田大作監督が長塚京三主演で作ったモノクロ作品だ。妻に先立たれた一人暮らしの77歳の元大学教授の日常を描いている。瀧内公美と紅白歌合戦の審査員までやった河合優実が登場する。2人とも何度もブログで取り上げたので気になってしまう。老人の日々の衣食住を丹念にカメラが追っていく。
渡辺儀助(長塚京三)は仏文の元大学教授で戦後間もなく建てられた広い古家に住む。妻(黒沢あすか)に先立たれて一人暮らしだ。まめに自分で料理をつくる。麺類が好きだ。書斎にはたくさんの本があり、軽い連載とときおりある講演依頼だけ受けている。修繕が必要な築年数なので、教え子が時折直してくれる。
教え子の女性鷹司靖子(瀧内公美)が相談を兼ねて尋ねてくると親身になって話をするし、デザイナーの湯島(松尾貴史)と立ち寄ったバーで働く仏文科の女子学生(河合優実)の境遇に関心を持つ。ひとときの安らぎだ。
そんな渡辺のパソコンにある時から「敵がやって来る」と不穏なメッセージが流れてくるようになり気になってしまう。
元教授のマメな日常を描くと同時に、ある時点から現実と虚実が交差して戸惑う老人をカメラが追う。
自分も徐々に年齢を重ねると主人公の動静が人ごととは思えない。筒井康隆は63歳の時にこの小説を書いたという。映画の途中まで、朝起きてから食事をつくって食べて余暇を過ごすところまで日常の生活を淡々と追っていく。電話連絡があるのは雑誌社の編集者からのようだ。人付き合いは多くない。預貯金があと何年持つかを計算しながら生活する。住むのは縁側のある古い日本家屋だ。子供がいない。見栄はなさそうだ。ぜいたくもしない。でも、教え子が来ることがわかるとワインを用意して準備万端だ。仏文の大学生がつくバーにもいく。そのくらいの金は問題ない。遺言書も用意している。
思ったよりも紆余屈折は少ないと思ったら、最終局面に向かって精神状態が安定しない状態を映し出していく。映像は現実と悪夢を交差させる。瀧内公美が来てごちそうとワインを振る舞うが、現実の場面かどうかをはっきりさせないシーンが続く。私としたいならハッキリ言ってくれればよかったのに。1人で私を思い浮かべてしているの?と言われてしまい苦笑する。黒沢あすか演じる亡くなった妻と主人公との幻のやりとりも増えていく。私以外の誰も愛さないと言ったじゃないかと虚実の元妻に責められる。もしかして、自分ももう少し歳をとるとこんな風に妄想に悩まされるのかと気になってしまう。
やはり30代半ばの瀧内公美がよく見える。この年齢って特に魅力的だ。主人公を頼りにする教え子の設定だ。元部下の女性がこんな感じで接してきたらどうなっちゃうんだろうと要らぬ妄想を自分が思い浮かべる。いけない、いけない。バーでバイトする女子学生河合優実とモリエールなどのフランス人作家の話をしている時が楽しそうだ。自分もそんな文学談義がしたくなる。でも、結局は主人公は騙されてしまう。
土曜日大学の部活のOB会が母校の食堂であった。現役1年生から80歳まで多数出席していた。ちょうど自分よりひとまわり上の先輩とこの主人公が同世代だ。ビジネス界で活躍された先輩たちも卒業以来OB会であっているが、横で見ていて年々歳をとっていくのがよくわかる。現実と虚実が交差しているようには見えなかったが、少しづつ老いが進展しているようだ。自分は恐れず老いを受け入れたい。