後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

欧米人の本質を知る簡便な方法

2008年04月27日 | 日記・エッセイ・コラム

明治の文明化以来、日本にとって、欧米人を理解して、その文明文化を早急に輸入することが国家目標であった。近代科学、蒸気機関、ジーゼルエンジンなどの技術の導入は素早く出来た。しかし欧米人を理解するという問題はいまだに困難なこととして残る。

欧米人を理解するにはキリスト教徒になるのが手っ取り早いという説もある。明治時代から現在まで、政治家で洗礼を受けた人も少なくない。しかし所詮、仏教もキリスト教もイスラム教も同じような倫理規定を人間に期待している。

キリスト教徒になると欧米人の人間としての弱さは理解できる。が、東洋人やアラブ人との相違が見えて来ない。単に人間の弱さは世界のどの民族も同じだという感慨に捉われるだけである。

東洋人や中近東人と欧米人の違いの一つは、合理主義がどの程度人生を規制しているか?という程度の大きな差異にあると思う。

人間は鳥でないから空を飛べない! そんなことは無い。ライト兄弟が飛行機を発明したではないか! 帆船は追い風を受けて走るのだから風上には走れない! 本当にそうであろうか?? その根拠となる理論は無い!それなら実験をしてみよう! 帆の形を色々変えて実験をしてみたところ、風上に走った! もっと早く風上へ走る船の形と帆の形はどう改良すればよいか? 改良を重ねる度に実験をする。そうして1500年ころに3本マストの外洋航海用の帆船が出来上がった。

東洋人にはその様な発想も無ければ、実験実証主義的な考え方が無い。これこそが東洋人と西洋人の重大な一つの相違であろう。

クルーザーヨットに乗って、その部品一つ一つの合目的完璧性、船全体の構造の無駄の無さ、絶対に転覆しないキールの重さ、などなどを体感的に理解すると、欧米人の合理主義の極地が理解できる。これこそヨーロッパ文化の真髄と、クルーザーに乗る度に感動する。

ヨーロッパ文化へあこがれる日本人、科学や技術を職業とする日本人が、クルーザーヨットの趣味をもつと文化の相違の本質が理解できる。単に楽しい、心地よい、というような表面的な楽しみの趣味ではない。

このブログの副題を「クルーザーヨットのブログ」とした意味は、「明治維新以来の我々の課題はクルーザーヨットの趣味を持つと解決しますよ!」そんなメメッセージを含んでいる。欧米人の理解の仕方はよくキリスト教を理解すると良いと言われる。キリスト教の信仰をもってみると人間の同一性は理解できるが、相違は理解出来ない。

余談ながら、風が強くなると簡単に転覆する小型ヨットをディギーと呼びますが、それはスポーツの一種で、クルーザーヨットとは文化的内容が別種のものである。

先日、横浜の、みなとみらい岸壁に係留する日本丸のデッキの上で、大型帆船の船長をしていた大西典一船長と上の理解で意見が合致した。

何十年も日本の運輸省(国土交通省)所管の大型帆船に乗っていた大西船長の

合意を得たので、この際、このブログへ発表し皆様のご叱正を仰ぐことにした。乞うご叱正!  (この項終わり)


まだ現役大型帆船日本丸(4)サンファン号もご覧下さい

2008年04月27日 | 日記・エッセイ・コラム

日本丸の構造を理解するにはサン・ファン・バウティスタ号をご覧下さい。石巻市渡波に復元され浮いています。伊達政宗がローマへ派遣した支倉常長が太平洋を往復するために乗った帆船です。当時、スペイン人と江戸幕府の指導で伊達正宗が石巻で建造したサン・ファン・バウティスタ号を平成5年に忠実に木造、復元し6枚の帆も上げました。

小生も数年前に見に行きました。石巻までは仙台からJRの電車がありますが、その先は往復タクシーで行きました。遠いです。(バスが有るかも知れません)

さてサンファン号の構造を簡単にみると、3本マストですね。前からフォア・マスト、メイン・マスト、ミズン・マストと呼びます。それに加えて重要なのは、船首から突き出した棒です。これをバウ・スピレットと言います。このマストの配列を日本丸と比較すると殆ど同じですね。違うところは日本丸の最後尾にもう一本のマストが立っていますね。ジガー・マストと呼びます。

サンファン号は500トン、日本丸は2200トンですからマストが余分に必要です。

バウスピレット、フォアマスト、メインマスト、ミズンマストがヨーロッパ帆船の基本構造です。

先端の一本の棒(バウスピレット)と3本のマストに、三角形と四角形の帆を上げれば、大洋を走れ回れる構造になります。後から見れば実に簡単至極な構造ではありませんか?

しかし400年前に、これを作り上げていったヨーロッパ人の創意には深い敬意を感じます。自分でクルーザーヨットを走らせていると、その完璧な構造に毎回感心してしまいます。

先日、日本丸のデッキの上で、小生は大西船長へ、「帆船こそはヨーロッパ文化の真髄ですね」と言いました。大西船長は、「そうです!ヨーロッパ文化の全てが詰まっているようです」と答え、その後は小生へ胸襟を開いてくれました。大西船長は小生を日本丸の船倉の奥まで案内して、帆船の保守管理のために重要なコマゴマした修理方法を説明してくれました。

サンファン号と博物館については、http://www.santjuan.or.jp/ をご覧下さい。

帆を上げている時の動画は、

http://bunkashisan.ne.jp/search/ViewContent.php?from=14&ContentID=181 にあります。

(続く)