(このゴッホの絵の出典は、http://philatelic-art.com/museum/20.htm )
このブログでは「外国体験のいろいろ」として既に60回にわたって随筆を掲載をしています。
読み返して見ますと、ヨーロッパやアメリカの文化や社会を取り上げてその優れているところを何度も書いています。それをお読みになった方々は筆者が欧米人を尊敬しているが、アジア人はそれ程尊敬していないという誤解をされるかも知れません。
そこで、この辺で筆者の考えを鮮明に書いておくことが必要と思い至りました。
文化や芸術には感動し、尊敬します。しかし、それを作りだした人々はとても尊敬出来ません。そんな感じをいつもしています。
人間には進歩がなく、過ちを繰り返しています。欧米の国々同士の飽く事のない戦争の歴史を見れば自明のことです。
比較文化人類学ではそれぞれの民族の文化を尊重し客観的な観察をします。決してそれぞれの民族の優劣を論じません。
しかし明治維新以来、日本人はどちらかと言うと欧米人を尊敬し、アジアの人々を尊敬していなかった歴史を背負っています。筆者も恥かしい話ですがそいう考えでいました。
1970年ドイツの研究所で同僚のP博士によってその間違いを鋭く指摘されてやっと気がついた経験があります。それ以来、文化の価値とそれを作った人間の倫理的価値は別物と信じるようになりました。すると文明開花に遅れた国々の人々も尊敬できるようになります。
ここに掲げた絵はゴッホの絵です。しかしゴッホの絵は、彼の生前は一枚も売れなかったそうです。近代絵画の花を咲かせたヨーロッパ人の大きな間違いの一例ではないでしょうか? (終わり)