昨日、「日本文化と武士道が特攻隊の悲劇を生んだ」と題する記事を掲載しました。
その冒頭の部分は次のようでした。
日本の300万人余におよぶ犠牲者の鎮魂を深く祈る日です。そしてアジア地域での中国人、フィリピン人などアジア人と米英豪などの総数、2千万人とも言われている犠牲者のご冥福をお祈りします。みんな日本軍の犠牲になったのです。
その上、ヨーロッパ戦線での何千万人の犠牲者に心を寄せる日です。世界第二次大戦は人類史上で初めての一番大規模で悲惨な戦争でした。
あれから茫々72年。人々は決して悲劇の数々を忘れません。想像を絶するいろいろな悲劇が起きました。
今日は日本軍だけにあった組織的な特攻隊が何故実行され、6000人余の戦死者を出したか考えてみたいと思います。
その内訳は、海軍、4,156名 、陸軍、1,689名 という数が報告されています。・・・
そこで今日はこの特攻隊、6000余人の犠牲によって連合国側にどの位の損害があったのかを客観的に書いてみたいと思います。
まずマッカーサー太平洋戦域連合軍総司令官の感想からご紹介いたします。(出典は、https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13128680533 です。)
「沖縄では、特攻が殆どの日本軍機による攻撃で我が軍は艦船36隻沈没、破壊368隻、航空機損失800機の損害を出した。これらの損害は米海軍がメルボルンから東京までの間に受けたそれまでの損害を遥かに超えるものである。」
太平洋艦隊司令長官のニミッツ元帥はもう少し具体的に語っています。
(4ヵ月に渡った沖縄戦で)「我が海軍が被った損害は、戦争中のどの海戦より遥かに大きかった。沈没30隻以上、損傷300隻以上、9000人以上が死傷もしくは行方不明になった。この損害は主として日本軍の航空攻撃、主に特攻によってなされた。」
そしてアーネスト・キング海軍元帥も次のように語っています。
「4月6日からはじまった日本機の攻撃は、いままで嘗てなかった激烈なものだった。この特攻戦は凄惨を極めた。(略)海上では戦死行方不明4907名、戦傷4824名であった。 艦船は沈没36隻、損傷368隻であり、飛行機の喪失は763機であった。」
特攻が開始された1944年10月から終戦までのわずか10ヶ月間に、米海軍史上最大の損害を与えたのです。その損害の内訳は次の通りです。
(1)特攻で撃沈された艦船と廃艦、
撃沈・廃艦の総合計 護衛空母4隻 駆逐艦38隻 他28隻 合計70隻
この内訳は以下の通りです。
護衛空母 セント・ロー オマニー・ベイ ビースマルク・シー合計3隻
駆逐艦(掃海・輸送・護衛各型を含む)、21隻
アブナ・リード マハン ワード レイド ロング ディカーソン ブッシュ エモンズ コルホーン マナートLアベール プリングル アーロンワード リトル モリソン オバーレンダー ベイツ バリー ドレクスラー ウィリアムD ポーター トゥィッグス アンダーヒル キャラハンなど。
大型給油船 ミシシネワ(排水量25800トン)他輸送船等27隻
特攻で大破し廃艦スクラップとなった艦船、護衛空母 、サンガモン
駆逐艦、合計17隻、
ブルックス ベルナップ ロイツェ ニューコム モリス ハーディング ハッチンス ハガード ルース シェイ イングランド ヒューwハドリー エバンス ザッチャー バトラー シュブリック ウィリアムディッターなど。
(2)特攻で撃破された艦船
正規(含軽空母)空母20隻 護衛空母13隻 戦艦11隻 巡洋艦12隻 駆逐艦150隻 その他100隻以上 合計300隻以上(撃破の内108隻は戦闘行動が不可能になる深刻な損害)
太平洋戦争中日米水上艦船がいたるところで激しい海上戦を展開しましたが、それで失われた米駆逐艦は16隻、また日独潜水艦が沈めた米駆逐艦15隻で合計31隻にすぎないところを見れば、たった10か月の特攻攻撃期間で駆逐艦38隻を沈めたのは特攻攻撃によるものだったのです。
また特攻で損傷した艦、300隻以上は沈みはしませんでしたが戦闘能力は無くなったのです。
日本軍は大戦中50000機の航空機を損失しましたが、その内のわずか2550機の5%程度の特攻機がこれだけの戦果を挙げたのです。
以上のように連合国の損害を文章で示すと分かり難いのですが、それを整理して一覧表にしたものが以下のURLにあります。是非ご覧ください。
『特攻攻撃が与えた損害の一覧』https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%B9%E6%94%BB%E3%81%A7%E6%90%8D%E5%AE%B3%E3%82%92%E5%8F%97%E3%81%91%E3%81%9F%E8%89%A6%E8%88%B9%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A6%A7
この一覧表は次のように整理、分類されています。
1連合軍の被害、1.1沈没、1.2損傷による除籍処分、1.3損傷、1.3.1巡洋艦以上、1.3.2駆逐艦以下
そしてそれぞれの表には、沈没日、艦名、艦種、場所、戦死者、負傷者の項目が示してあり、非常に分かり易い一覧表になっています。
さて日本側の6000人余の戦死者を出した特攻隊の犠牲に対して、以上の連合国の損害は大きかったでしょうか?小さかったでしょうか?この問いに対する議論ほど空しいものはありません。
ただ日米の両軍の全ての犠牲者の冥福を祈るだけです。
ところで表題に『特攻攻撃が与えた意外に大きい連合国側の損害の一覧』に書きましたが、「意外に大きい・・・」の 部分は私個人の感じ方です。
戦前生まれ、戦後のマッカーサー占領軍の指導による教育は、日本の軍国主義の復活を徹底的に防ぐ目的の教育でした。従って野蛮な特攻攻撃は何の戦果も上げられなかった、無意味な作戦だったという内容の教育でした。
戦後の満員の映画館のニュース映画では特攻機がアメリカの戦艦の銃撃で無残に黒煙を吹いて海に墜落して行く場面を何度も見ました。たまに特攻機がアメリカの戦艦に体当たりして、艦上で燃える特攻機に対して何本もの消火ホースで水をかけている場面も出ますが、アメリカ側の損傷は軽微なのです。
そのようなニュース映画ばかり見て育ちました。
冒頭に紹介したマッカーサー太平洋戦域連合軍総司令官や太平洋艦隊司令長官のニミッツ元帥の談話はアメリカ国内向けの談話で、日本の新聞では殆ど掲載されませんでした。当時は全ての報道に対してアメリカ軍司令部、GHQの検閲が厳しかったのです。
今日、ご紹介した連合国側の損害が明るみになったのは戦後、随分後になってからなのです。
戦後の教育を受けた高齢者は表題にある、「意外に大きい・・・」という表現に同感すると思います。
今日の挿し絵代わりの写真は特攻隊出撃直前の搭乗員たちの写真と、彼等が生まれ育った仏教国、日本のお寺の風景です。
お釈迦様はすべての生きものを殺してはいけないと教えました。人間の弱さと無常を感じます。
1番目の写真の出典は、http://www.sankei.com/premium/news/150406/prm1504060008-n1.htmlです。
2から4番目までのお寺の写真の出典は、http://www.miyabi-kyoto.net/sp/midokoro.html#05 です。
終戦の日、8月15日に当たり、全ての戦争犠牲者の鎮魂と冥福を祈ります。後藤和弘
===参考資料============================
List of United States Navy losses in World War II、https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_United_States_Navy_losses_in_World_War_II
日本語は、https://matome.naver.jp/odai/2144809749091311801 にあります。
太平洋戦争でのアメリカ海軍喪失艦
太平洋戦争の勝者であるアメリカの海軍艦艇喪失数は、例えば日本が戦艦を8隻失ったのに対してアメリカは2隻だけというように少ない。それでもここに挙げた戦艦、航空母艦、巡洋艦、駆逐艦、潜水艦だけでもアメリカは140隻前後失っており、戦力が低下していく中で日本軍がいかに戦ったかがうかがえる資料です。
その冒頭の部分は次のようでした。
日本の300万人余におよぶ犠牲者の鎮魂を深く祈る日です。そしてアジア地域での中国人、フィリピン人などアジア人と米英豪などの総数、2千万人とも言われている犠牲者のご冥福をお祈りします。みんな日本軍の犠牲になったのです。
その上、ヨーロッパ戦線での何千万人の犠牲者に心を寄せる日です。世界第二次大戦は人類史上で初めての一番大規模で悲惨な戦争でした。
あれから茫々72年。人々は決して悲劇の数々を忘れません。想像を絶するいろいろな悲劇が起きました。
今日は日本軍だけにあった組織的な特攻隊が何故実行され、6000人余の戦死者を出したか考えてみたいと思います。
その内訳は、海軍、4,156名 、陸軍、1,689名 という数が報告されています。・・・
そこで今日はこの特攻隊、6000余人の犠牲によって連合国側にどの位の損害があったのかを客観的に書いてみたいと思います。
まずマッカーサー太平洋戦域連合軍総司令官の感想からご紹介いたします。(出典は、https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13128680533 です。)
「沖縄では、特攻が殆どの日本軍機による攻撃で我が軍は艦船36隻沈没、破壊368隻、航空機損失800機の損害を出した。これらの損害は米海軍がメルボルンから東京までの間に受けたそれまでの損害を遥かに超えるものである。」
太平洋艦隊司令長官のニミッツ元帥はもう少し具体的に語っています。
(4ヵ月に渡った沖縄戦で)「我が海軍が被った損害は、戦争中のどの海戦より遥かに大きかった。沈没30隻以上、損傷300隻以上、9000人以上が死傷もしくは行方不明になった。この損害は主として日本軍の航空攻撃、主に特攻によってなされた。」
そしてアーネスト・キング海軍元帥も次のように語っています。
「4月6日からはじまった日本機の攻撃は、いままで嘗てなかった激烈なものだった。この特攻戦は凄惨を極めた。(略)海上では戦死行方不明4907名、戦傷4824名であった。 艦船は沈没36隻、損傷368隻であり、飛行機の喪失は763機であった。」
特攻が開始された1944年10月から終戦までのわずか10ヶ月間に、米海軍史上最大の損害を与えたのです。その損害の内訳は次の通りです。
(1)特攻で撃沈された艦船と廃艦、
撃沈・廃艦の総合計 護衛空母4隻 駆逐艦38隻 他28隻 合計70隻
この内訳は以下の通りです。
護衛空母 セント・ロー オマニー・ベイ ビースマルク・シー合計3隻
駆逐艦(掃海・輸送・護衛各型を含む)、21隻
アブナ・リード マハン ワード レイド ロング ディカーソン ブッシュ エモンズ コルホーン マナートLアベール プリングル アーロンワード リトル モリソン オバーレンダー ベイツ バリー ドレクスラー ウィリアムD ポーター トゥィッグス アンダーヒル キャラハンなど。
大型給油船 ミシシネワ(排水量25800トン)他輸送船等27隻
特攻で大破し廃艦スクラップとなった艦船、護衛空母 、サンガモン
駆逐艦、合計17隻、
ブルックス ベルナップ ロイツェ ニューコム モリス ハーディング ハッチンス ハガード ルース シェイ イングランド ヒューwハドリー エバンス ザッチャー バトラー シュブリック ウィリアムディッターなど。
(2)特攻で撃破された艦船
正規(含軽空母)空母20隻 護衛空母13隻 戦艦11隻 巡洋艦12隻 駆逐艦150隻 その他100隻以上 合計300隻以上(撃破の内108隻は戦闘行動が不可能になる深刻な損害)
太平洋戦争中日米水上艦船がいたるところで激しい海上戦を展開しましたが、それで失われた米駆逐艦は16隻、また日独潜水艦が沈めた米駆逐艦15隻で合計31隻にすぎないところを見れば、たった10か月の特攻攻撃期間で駆逐艦38隻を沈めたのは特攻攻撃によるものだったのです。
また特攻で損傷した艦、300隻以上は沈みはしませんでしたが戦闘能力は無くなったのです。
日本軍は大戦中50000機の航空機を損失しましたが、その内のわずか2550機の5%程度の特攻機がこれだけの戦果を挙げたのです。
以上のように連合国の損害を文章で示すと分かり難いのですが、それを整理して一覧表にしたものが以下のURLにあります。是非ご覧ください。
『特攻攻撃が与えた損害の一覧』https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%B9%E6%94%BB%E3%81%A7%E6%90%8D%E5%AE%B3%E3%82%92%E5%8F%97%E3%81%91%E3%81%9F%E8%89%A6%E8%88%B9%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A6%A7
この一覧表は次のように整理、分類されています。
1連合軍の被害、1.1沈没、1.2損傷による除籍処分、1.3損傷、1.3.1巡洋艦以上、1.3.2駆逐艦以下
そしてそれぞれの表には、沈没日、艦名、艦種、場所、戦死者、負傷者の項目が示してあり、非常に分かり易い一覧表になっています。
さて日本側の6000人余の戦死者を出した特攻隊の犠牲に対して、以上の連合国の損害は大きかったでしょうか?小さかったでしょうか?この問いに対する議論ほど空しいものはありません。
ただ日米の両軍の全ての犠牲者の冥福を祈るだけです。
ところで表題に『特攻攻撃が与えた意外に大きい連合国側の損害の一覧』に書きましたが、「意外に大きい・・・」の 部分は私個人の感じ方です。
戦前生まれ、戦後のマッカーサー占領軍の指導による教育は、日本の軍国主義の復活を徹底的に防ぐ目的の教育でした。従って野蛮な特攻攻撃は何の戦果も上げられなかった、無意味な作戦だったという内容の教育でした。
戦後の満員の映画館のニュース映画では特攻機がアメリカの戦艦の銃撃で無残に黒煙を吹いて海に墜落して行く場面を何度も見ました。たまに特攻機がアメリカの戦艦に体当たりして、艦上で燃える特攻機に対して何本もの消火ホースで水をかけている場面も出ますが、アメリカ側の損傷は軽微なのです。
そのようなニュース映画ばかり見て育ちました。
冒頭に紹介したマッカーサー太平洋戦域連合軍総司令官や太平洋艦隊司令長官のニミッツ元帥の談話はアメリカ国内向けの談話で、日本の新聞では殆ど掲載されませんでした。当時は全ての報道に対してアメリカ軍司令部、GHQの検閲が厳しかったのです。
今日、ご紹介した連合国側の損害が明るみになったのは戦後、随分後になってからなのです。
戦後の教育を受けた高齢者は表題にある、「意外に大きい・・・」という表現に同感すると思います。
今日の挿し絵代わりの写真は特攻隊出撃直前の搭乗員たちの写真と、彼等が生まれ育った仏教国、日本のお寺の風景です。
お釈迦様はすべての生きものを殺してはいけないと教えました。人間の弱さと無常を感じます。
1番目の写真の出典は、http://www.sankei.com/premium/news/150406/prm1504060008-n1.htmlです。
2から4番目までのお寺の写真の出典は、http://www.miyabi-kyoto.net/sp/midokoro.html#05 です。
終戦の日、8月15日に当たり、全ての戦争犠牲者の鎮魂と冥福を祈ります。後藤和弘
===参考資料============================
List of United States Navy losses in World War II、https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_United_States_Navy_losses_in_World_War_II
日本語は、https://matome.naver.jp/odai/2144809749091311801 にあります。
太平洋戦争でのアメリカ海軍喪失艦
太平洋戦争の勝者であるアメリカの海軍艦艇喪失数は、例えば日本が戦艦を8隻失ったのに対してアメリカは2隻だけというように少ない。それでもここに挙げた戦艦、航空母艦、巡洋艦、駆逐艦、潜水艦だけでもアメリカは140隻前後失っており、戦力が低下していく中で日本軍がいかに戦ったかがうかがえる資料です。