イラク、イラン、リビア、シリアなどの独裁者は反米、反ヨーロッパの旗印を鮮明にして国民の支持を集め、独裁政権を維持してきました。
それとは反対にサウジアラビアやアラブ首長国連盟のように徹底的に親米政策をとり、その引き換えに欧米による国内政治への干渉を排除して独裁政治を続けている国々もあります。
激しい反米だったイラクはアメリカ軍に占領され親米政権が出来ました。アフガニスタンも同様です。
同じ様にリビアとエジプトは欧米の干渉によって独裁政権が倒れ、欧米よりの政権が出来るはずでした。しかしリビアもエジプトもいろいろな武装部族が割拠し、闘争を繰り返して内戦が続いています。
シリアの内戦も欧米による干渉で激化しています。そして200万人ものシリア難民が国外へ逃れているのです。
アメリカ軍が平定し、親米政権の出来た筈のイラクでもアフガニスタンでも、イスラム過激派によるテロが絶えません。スンニ派とシーア派の武力抗争も絶えません。
そしてイスラエルとパレスチナ自治政府も終わりの無い武力抗争を続けています。
中近東に現在起きている以上のような大きな悲劇は欧米による干渉で一層混迷を深くしているのです。
この中近東の諸国は、いろいろなイスラム宗派とアラブ社会独特の強い部族主義が結びついた非常に複雑な国々なのです。その背景には5000年の歴史があるのです。
それなのにアメリカは自分が理想と思い込んでいる民主主義や人権尊重主義を武力で押し付けるのです。その態度は中世のドイツ騎士修道会が北方の異教徒を武力でカトリックへ改宗させようとした態度と全く変わりません。
中近東の国々へ欧米が干渉するのは一切止めるべきです。人権尊重主義も民主主義も彼等自身が重要だと認め、自らが導入すれば良いことです。
独裁政権でも国内が平和で、生活が平穏なほうが幸せだと考える人々が多いのら、欧米は干渉すべきではないのです。
反米を大声で言う故フセイン大統領やカダフィ大佐のような狂人とは取り合わなにことです。それを子供の喧嘩のように感情的に取り潰しても、親米国家は出来ません。残るのは反米感情を持った部族主義者だけです。そこからイスラム過激派が生まれるのです。
このような欧米の干渉主義を私は、「ヨーロッパ文化の闇」の一つと考えています。
この記事を書きながら、私は、文化人類学者のルース・べネデクトの言葉を思い出しています。「すべての民族文化には絶対に優劣が無い」という言葉です。
それはそれとして、
今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)