海が好きな人は多いようです。海釣りを楽しんだり、シーカヤックを楽しむ人もいます。あるいはヨットの単独航海を続け南極まで行く人もいます。広く深い海には巨大なクジラが棲んでいます。マグロやカツオの群れが回遊しています。サンマやイワシやニシンも沢山獲れます。しかしある時は怒り狂ったように大津波で家々を流し去ります。
人間と海は大古から深い関係があります。
気持ちが高揚している時に海を見ると心が落ち着きます。そして悲しい時に海を眺めていると慰められます。海は人間にとって親しい友人のようです。
そんなことを考えさせる光景を鎌倉の七里ガ浜で見ました。堤防に独り座った男がうなだれて海を眺めていました。
いつまでも眺めていました。初めは悲しそうにしていました。涙をそっと拭いていました。でも海に慰められて次第に明るい顔になってきました。そして静かな豊かな表情になりました。きっと故郷を遠く離れ異郷の地の日本に独り住んでいるのでしょう。私も若い時、独りでオハイオ州に住んでいたのです。悲しかったです。苦しかったです。孤独感に襲われました。
堤防の上に独り座っている男の気持ちが分かるのです。セネガルから来た人だと家内が言っていました。故郷のこと、母のことを思っているのでしょう。海は遥か彼方、どこまでも繋がっているのです。
彼は何時までも、何時までも海を眺めているのです。たぶん夕日が空を染め、夜のとばりが下りるまでそこに座っているに違いありません。ソッと私は去りました。それは鎌倉の七里ガ浜で見た光景です。その写真を示します。
1番目の写真は七里ガ浜の堤防の上に座っている男の姿です。
2番目の写真はその男の目の前に秋の陽がキラキラ輝く広い海です。
3番目の写真は足元の砂浜には繰り返し、繰り返し白波が寄せている風景です。目を上げてみると緑豊かな江の島が悠然と横たわっています。
4番目の写真は夕方の海辺です。長い間、海を見ていると次第に陽が傾き、夕方が近づいたように海や砂浜の色が少しずつ変わっていきます。
私は静かに海辺を去りました。海と静かに過ごした一日でした。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)