ヨーロッパの美術館に行くと数多くの宗教画が展示してあります。聖母子とか受胎告知の絵です。
しかしこれらの宗教画ほどつまらないものはありません。第一に芸術的感動が感じられません。その上、絵に何が描いてあるか理解出来ないのです。私はカトリックですが芸術と宗教は別物だ思っています。
ヨーロッパの宗教画はつまらないと思う日本人が多いらしく、それを面白く見る方法が幾つもネット上に発表されてます。
そこで今日はそれらの中から一つ選んで以下の記事をご紹介したいと思います。
「聖書と絵画。絵画で読み解く新約聖書。宗教画を楽しもう。」(https://tabispain.com/category/arte/nuevo-testamento-prado/ )
以下はこの記事を分かり易く抜粋し文章も少し変えたものです。
ヨーロッパの美術館を回るとキリスト教の宗教画とギリシャ神話が中心になった絵が数多く展示されています。
それを楽しむためには基礎的な知識が必要なのです。ほんの少しの知識で美術館は何倍も楽しくなるです。
今回はキリスト教の宗教画の楽しみ方をご紹介します。プラド美術館の作品を中心にキリスト教の聖人達を見ていきます。
そこで以下では5枚の宗教画を示しながら鑑賞法をご説明します。
1番目の写真は「羊飼いの礼拝」(ムリーリョ、1650年頃、プラド美術館)です。
「羊飼いの礼拝」は、ベツレヘムで誕生したイエス・キリストを見るために、羊飼いたちが訪れた場面を描いた絵画作品です。
中世の西洋宗教絵画の主題として、数多くの作品が制作されてきました。
ムリーリョのマリアは甘美で美しく、お祝いに駆け付けた人々は当時の現実の世界にどこにでもいたであろう人々です。
2番目の写真は「聖母のエリザベス訪問」(ラファエル工房、1517年、プラド美術館)です。
エリサベト訪問とは、おとめマリアがエリサベトを訪問したこと場面です。ルカ福音書1:39-56に書いてあります。
ラファエロは若くして成功し異例なほどの大規模な工房を経営していました。37歳で死去した惜しまれる画家のひとりでした。マリアの画家と呼ばれたラファエルの描く聖母マリアは美しいですね。
3番目の写真は「受胎告知」(エルグレコ、1570年、プラド美術館)です。
受胎告知(じゅたいこくち)とは新約聖書に書かれているエピソードの1つです。聖告、処女聖マリアのお告げ、生神女福音とも言います。
一般的に、処女マリアのところに天使のガブリエルが降り、マリアが聖霊によってキリストを妊娠したことを告げ、またマリアがそれを受け入れることを告げる出来事です。
マリア崇敬の思想を背景として、キリスト教文化圏の芸術作品の中で繰り返し用いられるモチーフでもあります。エルグレコも受胎告知を沢山描いていて、現存するのが14点もあるのです。
これまでの絵との大きな違いはマリアと天使の位置にあります。他の画家達の作品はマリアが右側で天使が左側にいます。エルグレコは全て反対です。このように描いているが理由は諸説あって良くはわかっていません。
4番目の写真は「エジプト逃亡」(ムリーリョ、1647年、デトロイト美術館)です。
エホバの天使が夢でヨセフに現れてこう言ったのです。「起きて,子供とその母親を連れてエジプトに逃げ,私が知らせるまでとどまりなさい。ヘロデがこの子を捜して殺そうとしています」と。マタイ 2:13に書いてあることです。
幼子イエスの顔が写実的でまさに生まれたばかりの赤ちゃんです。ヨセフはたいていどの宗教画でも扱いが軽いのですがこのヨセフは随分美男子として丁寧の描いてあります。
ムリーリョ30歳頃の作品で、登場する人々の衣装は17世紀の庶民が着ていた衣装をまとっています。
5番目の写真は「東方三賢者の礼拝」(ベラスケス、1619年、プラド美術館)です。
『マタイによる福音書』2:1-13に三博士たちについて記されています。
東方で星を見た彼らは、ヘロデ大王に「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか」と聞きます。
ヘロデ王は祭司長たちや律法学者たちを集めて問いただすと、彼らはそれがベツレヘムであと答えたのです。
星が三博士たちに先立って進み、幼子のいる場所の上に止まる。博士たちは家に入り、母マリアと一緒にいた幼子イエスを見て拝み、乳香、没薬、黄金を贈り物としてささげます。ヘロデ大王は幼子を見つけたら、自分に知らせるようにと彼らに頼んでいたが、彼らは夢のお告げを聞いてヘロデ大王のもとを避けて、別の道を通って自分たちの国に帰ったのです。
この「東方三賢者の礼拝」はベラスケス20歳頃の作品でまだセビージャにいたころに描かれた初期のものです。
登場人物のマリアのモデルはベラスケスの妻のファナ、幼子イエスキリストはこの年に生まれたベラスケス娘のフランシスカ、手前にひざまずくのが画家はベラスケス自身、背後の横顔の老人がベラスケスの師匠のパチェーコです。
ベラスケスが絵を描くのにモデルが必要なので身近な人々をモデルにしたのです。よくあることです。
以上のようにヨーロッパの絵を鑑賞する前には少し準備が必要です。例えば次のものは分かり易く優れたものです。
「ルーベンス展」詳細レビュー!見どころ・鑑賞ポイントを徹底解説」
http://blog.imalive7799.com/entry/Rubens-201811#%E5%AE%97%E6%95%99%E7%94%BB%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E7%94%BB%E3%81%AF%E7%9B%B4%E6%84%9F%E3%81%A0%E3%81%91%E3%81%A7%E3%81%AF100%E6%A5%BD%E3%81%97%E3%82%81%E3%81%AA%E3%81%84
一般に宗教画の登場人物や物語はギリシャ神話やキリスト教などの背景知識なしでは100%理解することが難しいのです。
絵画に限らずヨーロッパの文学や音楽や建築の装飾はギリシャ神話やキリスト教に関連したものが多いのです。
ほんの少しだけでもギリシャ神話やキリスト教を調べると楽しくなります。
ヨーロッパの宗教画を面白く見る方法をご説明いたしました。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)