575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

9月句会の投句が集まりました。   遅足

2008年09月15日 | Weblog
今月の題詠は「香」「匂」でした。

題詠

①路地裏に活気を起こすサンマの香
②包みにも匂いを残し新生姜
③デパ地下や飽食の香り混じり合い
④病室の匂いにも慣れ秋団扇
⑤小坂井のウタリの神の匂いかな
⑥足音の香りを運ぶ良夜かな
⑦老楽の恋のかほりはほのぼのと
⑧花を抱く孫馨しき敬老日
⑨白桃にくれないの香の濃くなりぬ
⑩皮剥けば芋の顔なり土匂ふ
⑪手に残る紫蘇のにほひや秋暑し
⑫星月夜白きうなじの匂いたつ


自由題

①秋天を鑿で彫りたる八ヶ岳
②新涼や墨する祖父の背中かな
③ほおづきの実を吹き鳴らす孫娘
④秋の田の直線所詮人の世は
⑤長き夜の擦る手落ちて目覚めけり
⑥水引草階(きざはし)なかば飛鳥の碑
⑦終電に忘れられてをり秋扇
⑧無口にも話題の続く残暑かな
⑨吾亦紅奈良に美男の仏たち
⑩接吻の彫像溶けて稲光り
⑪漢江(はんがん)の月今宵わが葎宿
⑫恋ごころ灯すりんどう日暮れ道


安藤さん、ありがとうございました。
句会が楽しみですね。






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虚子の哀しみ          愚足

2008年09月15日 | Weblog
 孫が出来てから、生老死ということがよく頭をよぎる。
 孫の生老死とは全く無縁・無邪気に駆け回り、おしゃべりするその姿に癒されているが・・・・

 虚子は子福者あったが、四十歳の時四女六亡くしている。                                          そして、四十五歳で初孫を得ていて、五女晴子の長女防子は九人目。その防子が昭和十六年、疫痢で急逝。五歳だったと言う。呆然としている若い母晴子に付き添って、虚子は最後を看取った。
 そして晴子を呼んで「悲しいだろうが、これもさだめだ、召されたものは仕方がない。今度死ぬのはお父さんだ。お父さんがあちらへ行って防子の面倒は見てあげるから心配しないでおいで。」とひたすら慰めたそうだ。虚子六十七歳であった。
 その時の悲しみの句が残っている。

    防子追憶

 手を出せばすぐに引かれて秋の蝶
 汝が為に鋏むや庭の紅蜀葵
 白露の母の涙につゝまれて
コメント (1)
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