575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

さしもぐさ             草女

2009年09月11日 | Weblog
今年は伊吹山に行く機会が多くあった。8合目の駐車場から西回りコースで登るのが植物観察には一番適していると思う。見下ろす斜面や、見上げる斜面にはどの時期に行っても花一杯で、まさにお花畑である。8月10日頃はシモツケソウのピンクで染められていたが、31日に行った時はオオヨモギの地味な花が風に揺れていた。
「かくとだに えやはいぶきの さしもぐさ さしもしらじな もゆるおもいを」この百人一首に選ばれてい藤原実方の歌の「さしもぐさ」はヨモギのことで、お灸の艾はヨモギの葉の裏の綿毛から作られる。
乾燥さた葉を揉んで綿毛を取り出すのだ。それにはこのオオヨモギが最適で、伊吹艾はオオヨモギから作らる。伊吹艾はブランド品で高価。だから、現在日本で出回っている艾は、ほとんどは、中国産ばかりだそうだ。 藤 原実方の歌は百人一首に選ばれているのだから、奈良時代に中国から渡来したお灸は平安時代には貴族社会ではポピュラーなものになったようである。      やわ肌の貴族が、お灸をすえらている姿を想像するとこの和歌に恋の真実味が薄らぐし、この歌は言葉を弄んでいると思う。
また「ちぎりおきし させもがつゆを いのちにて あわれことしの あきもいぬめり」 藤原基俊のこの歌も百人一首にはいっている。「させもがつゆ」はさしもぐさ つまり、ヨモギの葉に宿る露のことだそうだ。
いずれにしろキク科ヨモギ属の草は食用にしても、入浴剤としてもたいへんに有用であり、とても書ききれない。私は草もちが好きだ。

  
コメント
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