575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

V字渓谷は後いくつ   鳥野

2009年09月29日 | Weblog
上州の名湯、川原湯温泉を訪れたのは、十数年も前のこと。
静かな山裾の湯と期待したとおりの、素朴な湯宿。窓の外は急な崖で、遥か下に吾妻川の流れが見えました。

宿の建物はかなり古びて、建具の立て付けも傷み、隙間もあちこちに。

「やがてダムの底に沈むと思えば、手を入れる気にもならなくって」と女将は済まなさそうです。

八ツ場ダムの計画が発表されたのは昭和27年。間もなく町議会は「絶対反対」の決議。こぞって猛烈な運動が始まりました。

その後、「東京の人たちの最後の水がめ」「利根川流域の安全のため」などと説得されて、住民はの苦渋の決断をしたのです。

そんな大きな役割があるのなら、なぜ半世紀以上も、未完成のままなのか。疑問ばかりの計画であっても、地元はもう疲れ果てています。

宿に泊まった翌日、歩いた吾妻渓谷のまだ手付かずだった自然のすばらしさ。

この地を愛した若山牧水は詠っています。

  ・ うずまける白渦見ゆれ落ちあへる 落葉の山の荒岩の蔭に
 
美しいV字渓谷を見れば、「ダムの適地」と群がる公共事業族。八ツ場ダムはようやく逃れそうですが、
「楽設ダムも助けてー」と、寒狭川のオシドリが叫んでいます。
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遥かなる木犀薫り自信持つ   朱露

2009年09月29日 | Weblog

       ここ数年匂いに鈍感になったのが分る。
       五体の機能が衰えて来た現れの一つだ。
       そこへこの秋の木犀の圧倒的な匂いだ。
       と書きながら秋が過ぎたらどうしよう。

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