575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

賢治哭く苹果(りんご)の頬のいもうとに   佐保子

2016年11月02日 | Weblog
宮沢賢治が妹との別れに際してつくった詩「無声慟哭」

  こんなにみんなにみまもられながら

  おまへはまだここでくるしまなければならないか

で始まります。句に引用されたのは、この部分です。

  ほんたうにさうだ

  髪だつていつそうくろいし

  まるでこどもの苹果りんごの頬だ

  どうかきれいな頬をして

  あたらしく天にうまれてくれ


死んでゆく妹に、新しい天でも林檎のようなきれいな頬をして・・・、
と詠う賢治。最愛の妹を失う悲しさが伝わってきます。

「苹果」という表記は珍しいと思います。
「林檎」と「苹果」では意味の違いがあるのでしょうか?
中国では、古く西洋から伝わったリンゴを「苹果」と記し、
中国原産のものを「林檎」と表記してきたそうです。

これにならって、日本でも「林檎」は小粒の古くからのリンゴを、
西洋リンゴを「苹果」と書き表しているようです。

          

昨日は北風の冷たい一日でした。名古屋城のお堀にも鴨の姿が。
「鳥渡る」の季節を実感しました。
                    遅足





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