575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

老いた背や光る庭木に小鳥来る    能登

2016年11月27日 | Weblog
老いた背は誰なのか?2つの読みが可能です。
一つは作者が年老いた人の背中をみているという読み方。
もう一つは自分の背を老いた、と感じているというもの。

素直に読めば、どなたかの背に老いを感じたと。
その背の視線の先には光る庭木があり、
冬の到来を知らせるように渡ってきた小鳥が・・・
と、寂しさを感じていたところへ小鳥がやってきてくれた・・・
と、いう情景が浮かんできます。

作者と「老いた背」の人は、どういう関係なのでしょう?
お母さんでしょうか。

私は、ガラス戸に映った自分の影。
あるいは、地に映る影に、老いを感じとった句と読みました。
この場合は「老いの背や」となるのかも知れません。

光る庭木は、落葉樹ではない常緑の樹木。椿や山茶花を指すのでしょう。
そういえば最近、庭でジョウビタキの姿をみかけました。
大陸で子育てを終え、日本などで越冬をするジョウビタキ。
翼にある白い斑点をキモノの紋に見たてて、モンツキドリとも。
  
            

瀬戸内地方には、こんな民話があるそうです。
昔、スズメとモンツキドリは姉妹でした。母親が重い病気になったとき、
スズメはお歯グロを塗っていましたが、すぐやめて駆けつけたので
死に目に会うことができました。
ところがモンツキドリは、化粧をしたりモンツキを着たりと
時間をかけたので、死に目に間に合いませんでした。
怒った父親はモンツキドリに「こんりんざい食べ物をやらない」と言いました。
今でもモンツキドリは、おじぎをしているのは、このためです。
スズメの口元が黒いのは、途中まで塗っていたお歯グロのあとだそうです。
                             (遅足)
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