575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

嗅ぎわけて林檎にせまる象の鼻   亜子

2016年11月05日 | Weblog
林檎と象の鼻。映像がきっちり浮かんできます。
嗅覚から林檎を詠むという着眼点もユニーク。
最高点にふさわしい句です。

動物園の象の食事は、牧草、リンゴ、ニンジン、さつまいもなど。
長い鼻が、まず林檎へを選びました。
「せまる」という表現が秀逸ですね。
一番おいしそうな匂いもするのでしょう。

象は、鯨を除けば地球上で最大の動物でしょう。
巨体を維持するために食事の量も並ではありません。
一日に150キロ。水は100リットル以上が必要とか。
もちろんウンチの重さも。一日250キロの記録も。

           

ウンチといえば、穗村弘さんにこんな歌があります。

  サバンナの象のうんこよ聞いてくれ
            だるいせつないこわいさみしい

誰もいないサバンナ。生きものの気配といえば象のうんこだけ。
主人公はうんこに語りかけずにはいられない。
だるい。せつない。こわい。さみしい・・・、と。
東京サバンナに棲む人のこころでもあるのでしょうか。
切ない風のふいている歌です。

                    遅足
コメント
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