575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

虎落笛形見の筆の竜の彫  千香子

2018年12月16日 | Weblog

虎落(もがり)とは、竹を筋違いに組み合わせ、縄で結び固めた柵 (さく)。
虎落笛は、冬の強い風が竹垣や電線などに吹きつける時に発する音。
笛のような音なので虎落笛というそうです。

子供の頃、木枯しの吹く夜に聞いた音です。
大火事を連想し、この音が恐かった記憶があります。
恐いものは地震、雷、火事、親父、と言われた時代です。

筆は父の遺品の蒔絵の万年筆です、と作者。
お父上が大切にされていた蒔絵の万年筆。
一句の中にある虎落笛の「虎」と龍の彫の「龍」。
ふたつの言葉が、雄々しい父親像を浮かび上がらせます。
そう、恐い親父が生きていた時代ですね。(遅足)

  虎落笛聞きつゝ言葉探しをり  赤木 範
コメント
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