江戸時代、役者と劇場の契約は十一月から一年間でした。
十一月興行には、新たに契約を結んだ役者が勢揃いして、
その顔ぶれを見せることから「顔見世興行」と呼ばれていました。
初日は午前二時ころからの興行が始まっていたそうです。
京都・南座の十二月興行には、その雰囲気が残っているとも。
その南座の顔見世興行を詠んだ句。
いかにも冬の初めにぴったりですが、
顔見世は季語になっていました。
冬はじめ、を他の言葉にすると、別の句が出来そうです。(遅足)
顔見世や顔にかかりし紙の雪 市川右団治
顔見世やおとづれはやき京の雪 久保田万太郎