575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

ウタリとは?   遅足

2008年09月17日 | Weblog
ウタリとは兎足と書く。
愛知県の小坂井町にある。
ここは三河の国であるが、穂の国と呼ばれた独立したクニ。
その穂のクニのウタリ神社の祭神は、ウナカミのスクネのミコト。

孝元天皇の御裔・葛城襲津彦命四世の孫で
雄略天皇の時、穂の国国造に任ぜられて
御徳厚くその功がありここに祀られた。

と神社の記録にある。

この神社、家康も親しく参拝したこともあり、
神領の寄進もあり、将軍領主などの信仰が厚かった、
という。
いまでは毎年4月の「風まつり」が有名。
手筒花火など、勇壮な火の祭典が繰り広げられる。

三河・穂のクニは、縄文・弥生の昔から東西の境界線。
ヤマトの政権にまつろわぬ人たちが住んでいたに違いない。
そんな太古の匂いのする土地が穂の国である。

祭りに関するお問い合わせは、
 小坂井町役場
TEL:0533-78-2111(代表)へ。





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団子釣りきょうはどこまで行ったやら   鳥野

2008年09月16日 | Weblog
今年は秋が来ないうちに”中秋の名月”、不安定な予報を聞きながら、どうなることやらと、案じていました。
ところが、当日14日夜だけ奇跡のような晴れ。宵のうちは気になっていた雲も月中天のころには、すっきりと取れて、申し分のない月見になりました。

そして15日は立待ち月。今夜は居待ち、臥待ち、更待ちから宵闇まで、名残りは尽きませんが、そのどれもが今年は期待薄のようです。
出てよし、隠されてよし、月ほど、詩歌句に愛されたものはないでしょう。

その風流な月見とは一味違って、子どもならではの楽しみを話してくれたのは夫。幼児期を過ごした甲府地方の慣わしのようでした。

「団子泥棒」とも「団子釣り」とも言って、月の供物の団子を盗んで歩くというのです。
竹や棒の先に釣り針とか釘を取り付けて、団子を吊り上げるらしいのですが、もっと詳しく訊いておけばよかった。

この夜ばかりは許される狼藉。盗まれる側も台や器を縁側に出して、子どもを待つという温かさ。今でも続いているでしょうか。

   ・ 月の辺に幻の白き花を置きただそれだけで夫の忌終える  
                       
                          鳥野

 
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9月句会の投句が集まりました。   遅足

2008年09月15日 | Weblog
今月の題詠は「香」「匂」でした。

題詠

①路地裏に活気を起こすサンマの香
②包みにも匂いを残し新生姜
③デパ地下や飽食の香り混じり合い
④病室の匂いにも慣れ秋団扇
⑤小坂井のウタリの神の匂いかな
⑥足音の香りを運ぶ良夜かな
⑦老楽の恋のかほりはほのぼのと
⑧花を抱く孫馨しき敬老日
⑨白桃にくれないの香の濃くなりぬ
⑩皮剥けば芋の顔なり土匂ふ
⑪手に残る紫蘇のにほひや秋暑し
⑫星月夜白きうなじの匂いたつ


自由題

①秋天を鑿で彫りたる八ヶ岳
②新涼や墨する祖父の背中かな
③ほおづきの実を吹き鳴らす孫娘
④秋の田の直線所詮人の世は
⑤長き夜の擦る手落ちて目覚めけり
⑥水引草階(きざはし)なかば飛鳥の碑
⑦終電に忘れられてをり秋扇
⑧無口にも話題の続く残暑かな
⑨吾亦紅奈良に美男の仏たち
⑩接吻の彫像溶けて稲光り
⑪漢江(はんがん)の月今宵わが葎宿
⑫恋ごころ灯すりんどう日暮れ道


安藤さん、ありがとうございました。
句会が楽しみですね。






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虚子の哀しみ          愚足

2008年09月15日 | Weblog
 孫が出来てから、生老死ということがよく頭をよぎる。
 孫の生老死とは全く無縁・無邪気に駆け回り、おしゃべりするその姿に癒されているが・・・・

 虚子は子福者あったが、四十歳の時四女六亡くしている。                                          そして、四十五歳で初孫を得ていて、五女晴子の長女防子は九人目。その防子が昭和十六年、疫痢で急逝。五歳だったと言う。呆然としている若い母晴子に付き添って、虚子は最後を看取った。
 そして晴子を呼んで「悲しいだろうが、これもさだめだ、召されたものは仕方がない。今度死ぬのはお父さんだ。お父さんがあちらへ行って防子の面倒は見てあげるから心配しないでおいで。」とひたすら慰めたそうだ。虚子六十七歳であった。
 その時の悲しみの句が残っている。

    防子追憶

 手を出せばすぐに引かれて秋の蝶
 汝が為に鋏むや庭の紅蜀葵
 白露の母の涙につゝまれて
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名月やブラジル人のしゃがみ酒   朱露

2008年09月14日 | Weblog

   コンビニの隅で固まるブラジルの男たち。
   しゃべっては笑い缶ビール片手のひと時。
   日本人の男からこういう姿はなくなった。
   と、したり顔で言う私は断固独酌を貫く。

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小林一茶の里    遅足

2008年09月13日 | Weblog
信濃の奥の奥、柏原の宿に一茶は生まれ、亡くなりました。
今回、初めて一茶の里に行ってきました。
写真は、一茶終焉の土蔵です。
大火によって家が焼かれ、残った土蔵のなかで
最晩年を過ごし亡くなりました。
65歳だったそうです。

思い描いていた風景とは違って明るい山村。
新しい一茶記念館も出来ていました。

一茶は晩年は結婚しても、奥さんも子供も亡くなって
寂しい生活だったと聞いていました。
しかし、俳句の宗匠としては大活躍していたそうです。

記念館近くにある俳諧寺の天井には
有名な俳人の句が寄せられていました。

  笑わぬ一茶の句のおかしさよ紅葉どき  金子兜太

私は、俳句は全然、出来ませんでした。

一晩、寝ての一句です。

  降り立ちて一茶の里の吾亦紅   遅足





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ガガイモ         草女

2008年09月12日 | Weblog
4年前のカレンダーにガガイモの花があった。以来ずうと会いたいと思い続けてきた。                                   どこにでもありよく見かける植物なのに花に会えない。去年の春モリコロパークのツツジの植え込み中の小さガガイモを持ち帰り育ててきた。留守中、連れ合いが庭の大改革をしてガガイモは行方不明。地上部は枯れていたからしかたないと思つつ残念極まりなかった。                           ところが、この春思いがけないところから芽をだしてくれた。この暑い夏、水やりをかかさなかったのはガガイモのため。8月の半ばつぼみをつけ下旬に咲いてくれた。
 ガガイモ科ガガイモ属のつる性の多年草で花の直径は1cmほどで淡紫紅色。花の内側に毛が密生する。そうこの毛が見たかった。だから大満足。
 すべての葉腋に花をつけたが実になるかどうかわからない。ガガイモは沢山花をつけるのに何故実が少ないか議論している人々がいるくらいだから。

 古事記で大国主神と一緒に活躍する少彦名神が乗ってきたのはガガイモの実の皮。ユニークな実がなったらまた報告したい。


   
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逆ギレ会見   麗

2008年09月11日 | Weblog
おそらく歴代首相の言葉の中で長く言い伝えられるであろう
福田首相の辞任会見での最後のフレーズ。

「あなたとは違うんです!」

これを英語で言うとなんというか
朝のラジオで言っていました。

「I am not like you 」

つまり、あなたのようではありません。

あの会見に福田さんの全てが出ていましたね。やはり言葉は恐ろしいと当時に
正直でした。
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9月の題詠は「香り」「匂い」です。 遅足

2008年09月10日 | Weblog
香り、というとエンピツを削った昔を思い出します。
針葉樹特有の香りが、さあ、勉強と言っているようでした。
少し頭が良くなったような気もしたして。

香、といえば、北原白秋のこの歌。

   君かへす朝の鋪石さくさくと雪よ○○の香のごとくふれ

人妻との恋愛。姦通罪で逮捕されることになった恋でした。

白秋は林檎の香、としています。



ある詩人のこんな表現もあります。

   ほのかに甘く少し○○○○香り 花木犀のあなたの匂い

ここは?ひらがな4文字。さて・・・


句会では、どんな香りや匂いの句が登場するのか、楽しみ。


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秋だよー、まんじゅしゃげだよー   鳥野

2008年09月09日 | Weblog
中日新聞朝刊の漫画。ちびまる子ちゃんへ佐々木のじいさんから、「まんじゅしゃげがもうすぐ咲くよ」と誘いがありました。
海津市の津屋川堤や半田市の矢勝川畔の花のたよりも間もなく届くでしょう。

季節を違うことなく、秋を知らせてくれていたこの花も、異常気象にはお手上げか、昨年あたりから「一斉に」という具合にはいかないみたい。

なんの痕跡もないのに、秋が近づくと急に茎が伸び、あれよと思う間もなく花盛り。葉は花が終るのを待ってから出ます。
花は葉を恋い、葉は花を想う・・韓国名・相思花の由来です。

それにしても、妖しげな異名の多いこと。死人花、幽霊花、地獄花、狐花・・・稲とともに大陸から渡来した外来種というが、墓地などの陰湿地を好むからでしょうか。

その風情が俳人にも歌人にも愛され、作品も数多です。

 ・ 一途なるもののあやふき曼珠沙華 斉藤史子

 ・ 曼珠沙華散るや赤きに耐えかねて 野見山朱鳥

 ・ 曼珠沙華葉を纏うなく朽ちはてぬ 咲くとはいのち曝しきること 斉藤史

 ・ あかあかとほうけて並ぶきつね花死んでしまえばそれっきりだよ 山崎方代

  ・ 曼珠沙華ゆびを反らせる手にも似てジュリアン・ソレルの赤 夕光を浴ぶ                                 鳥野
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アンパンマンの作者の好きな一句            愚足

2008年09月08日 | Weblog
★ アンパンマンで有名な漫画家、やなせたかし氏が俳句週刊誌の「私の好きな一句」に次のように書いていたのが面白かったので紹介したい。

 漫画仲間で「名句の世界をを描く」というテーマで展覧会をしたとき芭蕉を担当した。あまりに超有名人なのでかえって難しい。
 そして絵をつけるために読み換えて見てみると、やはりものすごい。
 特にそう感じたのは「物いへば唇寒し穐の風」である。
 それまでは余計なことを言うと唇寒しだよ、というような警句みたいな感じで受け止めていたのだが、絵を描こうとして読むと、「唇寒し」が繊細で実に美しい。
 唇で秋を知るという感覚はモダーンでダンディである。
 とても昔の句とは思えない。

★是非どんな絵になったのか知りたいと思う。
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わが視野の中を歩いて秋の暮  中里麦外

2008年09月07日 | Weblog
私が存在するから世界は存在するのだ、と断言している。

「私」というものは、どのように出来上がったのだろう?
最初の私のイメージは、戦争末期に父の背中に負われて、
母の里へ急ぐ姿。
これは、あとから親に話してもらって出来たもの。
つまり他人のイメージが「私」のイメージです。

モノゴコロがついてくると、次第に「私」が自立してくる。
やがて逆転して、私が世界の中心に。
そんな気持ちをトコトン突き詰めると上のような句に。

ところで歌の世界に独唱・二重唱・三重唱があるそうです。
独唱は自分の気持ちを。
二重唱は恋や愛の世界を。
三重唱ではどんな句になるのだろうか?   遅足



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名月や天明浅間鬼押出   朱露

2008年09月06日 | Weblog

  1783(天明3)年浅間山の大噴火。
  数年前の秋、冷えた火の海の上を歩く。
  原爆は空から、噴火は地中からだった。
  「私コンニチアルハ」と、馬鹿の念仏。 

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鳥兜           草女

2008年09月05日 | Weblog
 去年の今頃伊吹山に植物観察に出かけた。土砂降りの雨も上がって三合目から登り始め数多くの植物に出会うことが出来た。
 興味深かったのはトリカブト。四合目辺りでは褐色がかった緑色の蕾。登るにつれて青紫に変化し、山頂では私たちに向かって開いているではないか。
 トリブトという名は良く知られているが、ほとんどの植物図鑑で「トリカブト」を引いてもまず見つからない。と言うのはトリカブトというのは、キンポウゲ科トリカブト属の総称なのだ。
 つまり個々のトリカブトの種を固定することは、大変難しく専門家に任せる他に手は無いのである。ここ伊吹山にあるのはイブキトリカブトだそうだ。
 愛知県の面の木峠にもトリカブトは数多く生えているが愛知県のトリカブトはヤマトトリカブトとカワチナシの二種のみ。しかも、咲いているのがどちらかと言うのを判定するのは専門家で無い限り非常に難しい。
 さてトリカブトは猛毒で有名だ。山頂で我々を迎えてくれたトリカブトの花を見て仲間の一人が「カーチャンの土産にしたいなあ」と一声、彼は愛妻家で有名なので人々から笑い声がもれ、疲れが癒された。
 トリカブトの毒についてであるが、世界一毒性が強いとされるのがエゾトリカブトで北海道の低地から山地に生えるもの、二番はオクトリカブトで本州中部から北海道にかけて生える。
 トリカブトは草全体が有毒であるが、特に毒性の強いのは根の部分。この根は一年ごとに母根から子根に成長し増えていく。
 普通母根のことを烏頭(うず)と呼び子根ことを附子(ぶす)と呼んでいる。
 有名な狂言に「附子」というのが有り、主人が大切な砂糖を舐められたくなくて『「ぶす」と言う猛毒だから舐めないように』と家来に言い残して留守にする。そのすきに家来は全部舐めてしまい、見つかって問いたださる。そこで、死のうと思って舐め続けたが死に切れなかったと言い訳するのがある。
 トリカブトは花の色といい形といい大変に魅力である。
 しかし、くれぐれもカアチャンの土産にしないように。

  霧の掌に粘華微笑(ねんげみしょう)のとりかぶと    加藤楸邨

★今週まで「草女」が投稿できませんので、去年書いてあって投稿しなかったものを投稿します。    (草女の連れ合い)
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新涼に僕もあの子も澄んでいる   朝倉晴美

2008年09月05日 | Weblog
坪内稔典さんのe船団のホームページで紹介してあった句。

作者は1969年生まれ。
最近の若い女性はわざと「僕」という自称を使う。
一種の変身願望か。

と、ありました。

女性が自分のことを「オレ」というとも。
どういう心理なんでしょうね?
変身願望なんでしょうが・・・
                  遅足

                


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