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【一口紹介】
メタローグ
前作「秘密」で、温かくて切ない物語を紡いだ東野圭吾が、今回は読む者の心を冷え冷えと切なくさせる。 1973年に起こった質屋殺しがプロローグ。最後に被害者と会った女がガス中毒死して、事件は迷宮入りする。物語の主人公は、質屋の息子と女の娘だ。当時小学生だった二人が成長し、社会で“活躍”するようになるまでを、世相とともに描ききる。2人の人生は順風満帆ではなく、次々忌まわしい事件が降りかかる……。当然ミステリーだから謎が隠されているわけだが、真相は途中で暗示されてしまう。しかし謎の存在などどうでもよくなるほどのスケールの大きさが読後に残る。(石飛徳樹)
出版社/著者からの内容紹介
悪の吹きだまりを生きてきた男。理知的な顔だちの裏に、もう一つの顔を持つ女。偽りの昼を生きた二人の人生を、“質屋殺し”を追う老刑事の執念に絡めて描く。ミステリーの枠を広げた一大叙事詩。
【読んだ理由】
ベストセラーの話題の書。
【印象に残った一行】
『一日のうちには太陽の出ている時と、沈んでいる時があるわよね、それと同じように、人生にも昼と夜がある。もちろん実際の太陽みたいに、定期的に日没と日の出が訪れるわけじゃない。人によっては、太陽がいっぱいの中を生き続けられる人がいる。ずっと真っ暗な深夜を生きていかなきゃならない人もいる。で、何を人は怖がるかというと、それまで出ていた太陽が沈んでしまうということ、自分が浴びている光がきえることを、すごく恐れてしまうわけ。』
『あたしの上には太陽なんかなかった。いつも夜。でも暗くはなかった。太陽に代わるものがあったから、太陽ほど明るくはないけど、あたしには十分だった。あたしはその光によって、夜を昼と思って生きていくことができたの。わかるわね。あたしには最初から太陽なんかなかった。だから失う恐怖もないの。』
【コメント】
約500ページの長編。読み出したら止められないスケールの大きい面白さ。
私が社会人となる1年前の1973(昭和48)年に起こった殺人事件から20年の歳月を経て、ストリーが展開される。
オイルショックなど当時の事件・世相も編みこまれ、私自身の人生遍歴をも重ねつつ、懐かしさを感じながら読むことができた。
2006年1月にテレビドラマ化されたとのことだが残念ながら私は見ていない。