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【一口紹介】
■内容(「MARC」データベースより)■
お笑い芸人・劇団ひとり、衝撃の小説デビュー! 「道草」「拝啓、僕のアイドル様」「ピンボケな私」ほか全5篇を収録。落ちこぼれたちの哀しいまでの純真を、愛と笑いで包み込んだ珠玉の連作小説集。
【読んだ理由】
タレント本にしては出来が良いとの評判から。
【印象に残った一行】
『ギャンブルで借金まみれ、そんな俺の言い分から聞いてくれ。
俺が思うに人生ってのは、結局のところギャンブルなのよ。どんな仕事をして、どんな女に惚れて結婚して、その間に生まれたガキが熱海旅行に連れてってくれるか、夜中に突然バットで襲いかかってくるか、壮大なギャンブルなのよ。それを自分でコントロールできるほど甘くないのよ、人生は。神様が投げたサイの目に従うしかないんだから。それが丁とでるか半とでるか、うちら人間にできることは、両手合わせて拝むだけ。だから勝ち組とか負け組とか本当はないんだよ。
勝った連中はツイてただけだよ。たまたま神様のサイの目に恵まれただけ。それが偉そうに「俺たちは努力したから」なんて語ってると頭にくるんだよ。うるせーよって。若い頃に親父に捨てられて、それから女手一つで、昼間はパートに出て、夜はスナックで酔っ払いを相手に愛想笑いを振りまいて、一生懸命に俺を育てた母ちゃんに向かって言えるのか?「努力がたりない」って。言えねーだろ。、皆、幸せになりたくて努力しているんだっていうの。ただ、その努力が神様のサイの目に当たらなかっただけなんだよ。』
【コメント】
「道草」「拝啓、僕のアイドル様」「ピンボケな私」「Over run」「鳴き砂を歩く犬」4つの短編からなり、独立した四つの物語であるが、部分的にどこかでつながりを持たせた構成となっている。
テレビをあまり見ない私で著者をあまり知らないが単なるタレント本ではない。
次回の作品が試金石になるのでは。

