【原文】
子曰、篤信好學、守死善道、危邦不入、亂邦不居、天下有道則見、無道則隠、邦有道、貧且賤焉、恥也、邦無道、富且貴焉、恥也、
【読み下し】
子の曰わく、篤く信じて学を好み、死を守りて道を善くす。危邦(きほう)には入らず、乱邦には居らず。天下道あれば則ち見(あらわ)れ、道なければ則ち隠る。邦に道あるに、貧しくして且つ賎しきは恥なり。邦に道なきに、富て且つ貴きは恥なり。
【通釈】
先生が言われた、「深く信じて学問を好み、命懸けで道をみがく。危うい国には行かず、乱れた国には留まらない。天下に道があれば表立って活動をするが、道の無いときには隠れる。国家に道があるときなのに、貧乏で低い地位にいるのは恥であるし、国家に道が無いのに、金持ちで高い地位でいるのも恥である」
【English】
The Master said, "With sincere faith he unites the love of learning; holding firm to death, he is perfecting the excellence of his course.
"Such an one will not enter a tottering state, nor dwell in a disorganized one. When right principles of government prevail in the kingdom, he will show himself; when they are prostrated, he will keep concealed.
"When a country is well governed, poverty and a mean condition are things to be ashamed of. When a country is ill governed, riches and honor are things to be ashamed of."
『論語』とは
読んで字の如く「論じ語る」、孔子と弟子達や要人達との間に交された対話録。
『論語』は私たちの生き方の原点を見つめた思索の宝庫であり、人間性を磨く叡智が凝縮した永遠の古典。
読めば読むほど胸に深く沁み込む簡潔な言葉の数々。
『孟子』『大学』『中庸』と併せて儒教における「四書」の一つに数えられる。
全20編(学而第一~堯曰第二十) 構成され、編の名称は各編の最初の二文字を採ったものであり内容上の意味はない。
したがって、学而第一から順に読む必要はなくどこから読んでもかまわない。