![]() | サザエさんの東京物語 |
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朝日出版社 |
【一口紹介】
◆内容紹介◆
町子姉は頭がよくて、悪ガキで、甘えん坊でした。
──ワンマン母さんと串だんご三姉妹の昭和物語──
著者:長谷川洋子(長谷川町子の実妹)
“昭和”が生んだ天才漫画家・長谷川町子の、最初で最後の真実の物語
女子大時代には文豪・菊池寛氏に師事し、『サザエさん』の制作を陰で支え続けた実の妹の、
初めての書き下ろしエッセイ。
「町子姉」と長谷川一家の、戦中・戦後の貧しくも明るくたくましい暮らしと、町子さんが亡くなるまでの波乱万丈のエピソードを綴った。
貴重なプライベート写真も収録。
◆内容(「BOOK」データベースより)◆
長谷川町子の実の妹が明かす姉の素顔と、長谷川家の波乱万丈の暮らしを綴った初エッセイ。
著者について
◆長谷川洋子(はせがわ・ようこ)◆
1925年福岡生まれ。長谷川町子さんの実妹で、三姉妹の末っ子。八歳のときに父親をなくし、一家で上京。
東京女子大学国文科に入学後、ひょんなことから菊池寛氏に弟子入りし、文藝春秋社に入社する。
戦後は、母の提案で設立した姉妹社で働き、姉・長谷川町子の作品『サザエさん』などの出版業務に携わる。
【読んだ理由】
新聞の書評を見て。
【印象に残った一行】
文化的なものに餓え切った心は乾いたスポンジが水を吸う勢いで、あふれる色彩やおはやしの音色を吸収し蘇生する思いになっていた。敗戦で負け犬の心境に落ち込んでいたのだが、見よ!日本にはこんなに素晴らしい文化や伝統があったのだと改めて誇らしく思った。
毎日四時頃、新聞社のオートバイが原稿を取りにみえる。どんなに気に入らない作品であれ、それまでに一枚は仕上げなくてはならない。
出来が悪いと思った原稿を渡してしまった日はずっと機嫌が悪く、家に暗雲が立ち込めることになる。たくさんの愛読者に応えるためには、昨日より今日の方が、今日より明日の方が作品は面白くなくてはならないと、半ば強迫観念に似た思いが姉を苦しめていたようだ。始終、胃が痛いといって枕で胃の辺りを押さえていたし、病院でもらうお薬も、あまり効き目がなかった。
姉達は昔から自分達のことを<串だんご>と言っていましたが、その柵から抜け出せるなら、財産より自由の方がずっと貴重なありがたいものだと私には思えたのです。
【コメント】
ひとつの昭和史であります。
それにしても町子さんはサザエさんそっくりだ。