日本男道記

ある日本男子の生き様

徒然草 第百七十二段

2022年10月04日 | 徒然草を読む


【原文】 
若き時は、血気内に余り、心、物に動きて、情欲多し。身を危めて、砕くだけ易き事、珠を走らしむるに似たり。美麗を好みて宝を費やし、これを捨てて苔の袂に窶れ、勇める心盛りにして、物と争ひ、心に恥ぢ羨み、好む所日々に定まらず、色に耽り、情にめで、行ひを潔くして、百年の身を誤り、命を失へる例願はしくして、身の全く、久しからん事をば思はず、好ける方かたに心ひきて、永き世語りともなる。身を誤つ事は、若き時のしわざなり。
老いぬる人は、精神衰へ、淡く疎そかにして、感じ動く所なし。心自から静かなれば、無益のわざを為さず、身を助けて愁へなく、人の煩ひなからん事を思ふ。老いて、智の、若きにまされる事、若くして、かたちの、老いたるにまされるが如し。  

【現代語訳】  
若者は血の気が多く、心がモヤモヤしていて、何にでも発情する。危険な遊びを好み、いつ壊れてもおかしくないのは、転がっていく卵のようだ。綺麗な姉ちゃんに狂って、貯金を使い果たしたかと思えば、それも捨て、托鉢の真似事などをしだす。有り余った体力の捌け口に喧嘩ばかりして、プライドだけは高く、羨んだり、好んだり、気まぐれで、浮気ばかりしている。そして、性愛に溺れ、人情に脆い。好き勝手に人生を歩み、犬死にした英雄の伝説に憧れて、自分もギリギリの人生を送りたいと思うのだが、結局は、世の末まで恥ずべき汚点を残す。このように進路を誤るのは、若気の至りである。
一方、老人は、やる気がなく、気持ちも淡泊で細かいことを気にせず、いちいち動揺しない。心が平坦だから、意味の無い事もしない。健康に気を遣い、病院が大好きで、面倒な事に関わらないように注意している。年寄りの知恵が若造に秀でているのは、若造の見てくれが老人よりマシなのと同じである。

◆鎌倉末期の随筆。吉田兼好著。上下2巻,244段からなる。1317年(文保1)から1331年(元弘1)の間に成立したか。その間,幾つかのまとまった段が少しずつ執筆され,それが編集されて現在見るような形態になったと考えられる。それらを通じて一貫した筋はなく,連歌的ともいうべき配列方法がとられている。形式は《枕草子》を模倣しているが,内容は,作者の見聞談,感想,実用知識,有職の心得など多彩であり,仏教の厭世思想を根底にもち,人生論的色彩を濃くしている。

Daily Vocabulary(2022/10/04)

2022年10月04日 | Daily Vocabulary
29371.courier (添乗員、案内人、ガイド、急使、特使、密使  ) a person or company that is paid to take packages somewhere
I'll send them over by courier immediately. 
29372.shortr notice (急なお願い;急な話 )if something is short notice, you are told about it only a short time before it happens
That’s a pretty short notice, but 、I’ll see What I can do.
29373.no trouble (全く問題ない )used to say politely that you are happy to do something for someone 
Are you sure you don’t mind?’ ‘It’s no trouble.’ 
29374.flour (小麦粉)a powder that is made by crushing wheat or other grain and that is used for making bread, cakes etc
She needs peanut butter , flour, and pepper.. 
29375.fulfill (果たす、満たす、履行する  ) if you fulfil a hope, wish, or aim, you achieve the thing that you hoped for, wished for etc
Visiting Disneyland has fulfilled a boyhood dream.