一部引用・・・ 「公判を終えてから不起訴処分を出したのは、検察に有利な証言を引き出すためだったのではないか」との質問に対して、
河井2人の起訴の時点で、起訴すべきものは起訴した。他の者は処分を要さないという判断だったが、告発がきたので改めて捜査し、本件では、河井克行が否認していたので、克行が公判でどういう供述をするのかという経緯を見ていた。
これまた、「告発」という刑訴法上の制度を軽視するかのような、恐ろしい発言だ。
今回の河井夫妻からの被買収者の事実について、両名の起訴の段階で刑事立件すらしなかったことは、検察官として到底許されることではない。それに対して、市民が「当然の告発」を行い、その結果、刑事処分を行わざるを得なくなったのである。
それを、東京地検次席検事は、克行・案里の起訴の段階で「刑事立件も、刑事処分もしない」という判断をしていたのに、告発が行われたから、したくもない「刑事処分」を行わざるを得なくなり、不起訴にした、というのである。
《検察は、現に証拠があり、犯罪が認められても、検察は「刑事立件も、刑事処分もしない」ということを勝手に決めることができる。「起訴すべきものは起訴した」と言っておけば、理由の説明すら要らない。それに対して、「告発」などという余計なことが行われたから、不起訴処分という余計なことを行わなくてはいけない話になったのであり、それを検察官が不起訴にするのは当たり前のことだ》と言いたいようだ。
そもそも、検察官は、刑事事件として立件、起訴した事件に関連して、証拠によって認められる犯罪があり、処罰しない理由がないのであれば、刑事事件として立件するのが当然であり、それを立件しないで見過すのは「犯人隠避」にも当たり得るというのが、大阪地検特捜部の証拠改ざん事件で、検察が、大坪弘道特捜部長・佐賀元明副部長を、主任検察官の証拠改ざんについての「犯人隠避」で刑事立件し、起訴した検察の理屈だったはずだ
(7)「お金受け取っても不起訴になるということで、全国で悪い影響がでるのではないか」
これは、今回のような多額の被買収事件が不起訴とされたことが、今後の全国の公選法違反事件の刑事処分に影響を与えるのではないか、という当然の質問だ。
それに対する次席検事の答は、支離滅裂であり、全く答になっていない。
起訴猶予は犯罪の成立を認定している。受け取っても良いんだ、というのは違って、犯罪であるという認定は、我々はしている。検察官は取り調べをして、訓戒している。起訴猶予は良いとか、許しているとかそういうことではない。起訴をしなかっただけということ。
ここで、問われているのは、多額の被買収事件で「犯罪が認められる」としているのに、「起訴猶予」ということであれば、被買収事件についての検察の刑事処分の基準が変わったことになり、今後、同種の買収事件でも、同じような理由で「起訴猶予」にすべきということになるのではないか、買収事件での被買収者の起訴はできなくなるのではないか、という点である。
それに対して、「検察は犯罪を認めた上で、取調べをして訓戒をして、その上で起訴猶予にして起訴しなかっただけ」というのである。
検察は、どのような犯罪であれ、取調べて、訓戒をした上で、自由自在に起訴猶予にすることができるという「検察の独善・傲慢」そのものだ。
最後の点は、今回の全員起訴猶予の不起訴処分の決定的な問題であり、今回の事件のような多額の被買収の事案が、「受動的だった」「他に疑いがあっても証拠上立件できない被買収者がいた」などという理由にならない理由で起訴猶予になったことで、今後の公選法違反事件の刑事処罰の実務が重大な影響を受けることは必至だ。
公選法違反事件、とりわけ選挙買収事件に対して、厳正・公平な処分が行われることは、公正な選挙の基盤だ。今回の検察の不起訴処分は、今後、公職選挙の公正を著しく阻害する。
黒川弘務元東京高検検事長の「賭け麻雀」の賭博事件、菅原一秀氏の公選法違反(寄附制限違反)事件と、検察が起訴猶予とした判断が検察審査会で覆され、起訴相当議決で検察の不起訴処分が厳しく批判される事例が相次いでいる。今回の河井夫妻事件被買収者全員「全員不起訴」に対して、検察審査会で「起訴相当議決」が出れば、検察に訴追裁量権を与えていることの是非が問題とされかねない(日本のような制度を「起訴便宜主義」というが、ドイツ等は、「起訴法定主義」であり、検察官は犯罪事実が認められる限りすべて起訴しなければならない。)
今回の不起訴処分は、「検察の正義」を崩壊させるものにほかならない。画像クリックで全文に飛びます。
河井夫妻事件被買収者“全員不起訴”で「検察の正義」は崩壊 #BLOGOS https://t.co/Yozw3PHxm4
— achikochitei (@achikochitei1) July 7, 2021
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一部引用・・・
被買収側の100人不起訴 河井夫妻選挙買収で東京地検(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース
公選法は現金を受け取るなど買収された側も、3年以下の懲役や50万円以下の罰金を科すと規定。議員の場合、罰金刑以上が確定すると原則5年間の公民権が停止し失職するが、不起訴によって失職は免れる。買収金を国庫に返還させる没収や追徴の規定も適用されない。検察が被買収側を一律に起訴せず、刑事責任を問わないのは異例だ。
被買収側の100人不起訴 河井夫妻選挙買収で東京地検 - 弁護士落合洋司(東京弁護士会)の日々是好日 https://t.co/qYV1t1zC6v
— achikochitei (@achikochitei1) July 7, 2021