サイトの「大分断」の内容紹介⇒著者は本書で「現代における教育はもはや、社会的階級を再生産し、格差を拡大させるものになってしまった」と断言する。
かつては平等の象徴であった教育だが、今や高等教育の階層化がエリートと大衆の分断・対立を招き、民主主義の機能不全とポピュリズムを生んでいる。
本書では、教育格差を軸として、先進各国で起きている分断の本質を家族構造が能力主義・民主主義に及ぼす影響や地政学的要素を鑑みながら、鮮やかに読み解いていく。
日本の未来、そして変質する世界の行方は。
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◎ お金と地位のある階層の子供は親の属している階層を引き継ぐために教育の金を親に払ってもらい金のかかる塾に通い、家庭教師につく。そしてブランド中学・高校・大学に入る。
その後を追う一段下の階層の人間も自分達の子供を一段高い階級に持ちあげてやろうとして、無理をしても高い教育費を担っていく。
その間に青少年少女が目的とするのは学問ではなく、受験競争に勝ち抜くことだ。自分がなんとしても勝ち組に入るために貴重な成育時間の殆どの時間を受験勉強に使っていく。
そこには他者と共生して生きて行くことを身に着ける場も時間も指導者もいない。それらの青少年少女は公徳心や倫理観が育たないまま世にいうエリートとして社会人になる。
その結果として現れる現代のエリートと称される勝ち組は 集団的に知性の自己崩壊を起こし それぞれが順応主義に染まった愚かな人間の集まりになっている。
著者は高等教育が無能なエリートたちを生み出したとまで言う。
この事態は欧米やロシア中国でも同じで、世界的に今や高等教育の階層化がエリートと大衆の分断・対立を招き、民主主義の機能不全とポピュリズムを生んでいると言う。
この現状はこれからのサピエンス社会にいいことはないと著者は懸念する。この状態が続くとサピエンス社会そのものが内部崩壊すると予言している。
著者がそこまで詳しく日本の現状を知らないせいか、また日本人向けに書き下ろしている故か、日本の高等教育の現状分析に甘さを感じるが、
それでもここまではっきり今や教育が、社会的階級を再生産し、格差を拡大させるものになっていることを率直に記述する本は初めて読んだ。