安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ソニー・スティット STITT PLAYS BIRD

2014-03-05 21:42:42 | アルト・サックス

ジャズ喫茶について考究した「ジャズ喫茶論」(マイク・モラスキー著、筑摩書房刊)という本を読みました。著者は、多くのジャズ喫茶店主へのインタビューをもとに、“ジャズ喫茶とは何か”、“新たなジャズ喫茶史へ”といった論考を書いています。訪問したお店のユニークな逸話も披露されていて、読み物としても面白く、ジャズ喫茶のファンとしては嬉しい本でした。ジャズ喫茶で聴きたいアルト奏者。

SONNY STITT (ソニー・スティット)
STITT PLAYS BIRD (ATLANTIC 1963年録音)

   Stittplaysbirdsonnystitt

ソニー・スティット(as)は、いろいろなレーベルでアルバムを作っていますが、このアトランティック盤については、録音から時間が経って発表されたこともあり、いま一つという評判で、LP時代には買う気がおきませんでした。しかし、今回CDが1000円で出され、ボーナス・トラックとして、「Now's The Time」も収録されていたので購入しました。

メンバーは、ソニー・スティット(as)、ジョン・ルイス(p)、ジム・ホール(g)、リチャード・デイヴィス(b)、コニー・ケイ(ds)。まるで、モダン・ジャズ・カルテットにスティットが客演したような形ですが、聴いてみるとスティットが吹きまくっていて、彼のリーダーアルバムに間違いはありません。

曲は、タイトルどおり、チャーリー・パーカーが演奏したものです。「Ornithology」、「Scrapple From The Apple」、「My Littel Suede Shoes」、「Parker's Mood」、「Au Privave」、「Ko-Ko」、「Confirmation」、「Hootie Blues」、「Constellation」がオリジナルLP収録の9曲で、そこに、「Now's The Time」と「Yardbird Suite」の2曲が追加されています。おなじみの有名バップ曲ばかりです。

スティット(as)がスピード感溢れるプレイを繰り広げています。リズム陣が、時にそぐわない部分はありますが、曲の魅力もあって、早く揃えればよかったものです。「Scrapple From The Apple」や「Confirmation」におけるスティットの一気呵成のアドリブには醍醐味が感じられます。また、CD追加の2曲は内容がよくて、アルバムの価値を高めています。「Now's The Time」は、テーマに続くスティット以下のアドリブが面白く、リチャード・デイヴィスのベースも効いており、「Yardbird Suite」は、バップらしさは後退するものの、調和のとれた演奏が楽しめます。

【ジャズ喫茶論(マイク・モラスキー著、筑摩書房刊】

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ジャズ喫茶ではなく、居酒屋(赤提灯)でのことですが、次の記述には、なるほどと思ったので、抜き書きしてみました。

“東京の居酒屋で私は普通「マイクさん」または「マイク」と呼ばれるのだが、歳をとったせいか、このごろは苗字の「モラスキー(さん)」で呼ばれることもたまにある。一方、どういうわけか関西では、苗字を省略して「モラさん」と呼ばれることが意外に多い。この呼び名にはまだ完全に慣れていないものの、実は気に入っている。なぜなら、「マイクさん」や、とりわけ呼び捨ての「マイク」に比べて馴れ馴れしくなく、それでも十分に親しみのこもった呼びかけ方だと感じるからである”