最近、読書をする時間が増えています。小説が多いですが詩集も読んでいて、手に入れやすいハルキ文庫のものを購入しています。萩原朔太郎、北原白秋に続き、立原道造(1914~39年)の詩集を読みました。
立原道造の詩は、抒情とともに寂寥感が漂い、胸をうつものが多く「のちのおもひに」や「夢みたのものは・・・」の一節は暗誦できます。短い言葉を使うところや、形式から音楽が連想されるところも特徴的です。彼が好んだというフォーレの音楽も聴きました。
表紙
文庫カバー裏面にある本の内容の紹介。
立原道造の肖像。ナイーブな感じを受けます。
19歳の時に母に捧げた手製詩集「日曜日」より「唄」が、写真とともに文庫の最初のページに掲載されています。
立原道造は、24歳8ヶ月で亡くなったので詩作の期間は短かったのですが、永遠の青春の詩ともいうべき作品をたくさん残していて、読んだことがある方も多いのではないかと思います。詩集『萱草に寄す』(わすれぐさによす)から感銘を受け大好きな二編の冒頭を記します。
SONATINE No.1
はじめてのものに
ささやかな地異は そのかたみに
灰をふらした この村に ひとしきり
灰はかなしい追憶のやうに 音立てて
樹木の梢に 家々の屋根に 降りしきった
のちのおもひに
夢はいつもかへつて行った 山の麓のさびしい村に
水引草に風が立ち
草ひばりのうたひやまない
しづまりかへつた午さがりの林道を
(聴いたフォーレのCD)
立原道造はフォーレの音楽が好きだったようです。特に室内楽曲には、息の長いフレーズや陰影に富んだ和音が聴かれ深い叙情が漂っています。
レイモン・ガロワ=モンブラン(vn)の演奏で、ヴァイオリンソナタ第1番。ヴィア・ノヴァ四重奏団の演奏で弦楽四重奏曲を聴きました。弦楽四重奏曲は、冒頭から複雑に絡み合う妖しい和音の連続で、結構好きな曲です。
晩年に書かれた傑作の「ピアノ五重奏曲第2番」をジャン・ユボー(p)とヴィア・ノヴァ四重奏団の演奏で聴きました。
フレデリカ・フォン・シュターデ(メゾソプラノ)が歌うフォーレの歌曲集。「夢の後で」や「月の光」が親しまれていますが、「イスファハーンのバラ」や「マンドリン」も歌とピアノ伴奏が溶け合い印象深い。
ジャン・マルタンのピアノで、夜想曲第1番~第6番と「主題と変奏」を聴きました。フォーレのピアノ曲は部厚い和音を使っています。
ピエール=アラン・ヴォロンダのピアノで、舟歌とバラードを。
フォーレの代表曲とされる「レクイエム」。「怒りの日」に曲をつけていないので、全体が穏やかで優しい。ジェレミー・サマーリー指揮オックスフォード・スコラ・カントルム、オックスフォード・カメラータの演奏。