原田マハさんの書いた「デトロイト美術館の奇跡」が文庫になって店頭に並んでいるので購入しました。
表紙は、セザンヌの妻の肖像画「マダム・セザンヌ」です。
(裏表紙にある本書の紹介)
(感 想)
本書は、美術分野に造詣の深い原田マハさんしか書けないもののように思い、テンポもよく面白く読みました。デトロイト美術館を存亡の危機から救った経緯を描いた内容ですが、アメリカという国の懐の深さにも驚かされました。
自動車産業の衰退により市の財政状態が悪化し、美術館の収蔵品を売却することになったのですが、その話にストップをかけ、美術館が独立した法人として存続することになりました。全米の各種財団や市民による寄付があったからですが、その寄付を呼び掛けるきっかけとなった話が感動的です。
デトロイト美術館にセザンヌの絵などを寄贈したコレクター(ロバート・タナヒル)をはじめ、同美術館に愛着を持っているファンを描いた部分に心打たれました。日本にも自治体運営の美術館は多数ありますが、そのようなファンを育てるような運営も大事だと思わされました。
デトロイト美術館外観
デトロイト美術館内部。
小説のあとに、女優の鈴木京香さんと著者の原田マハさんの対談「アートは友だち、そして家族」が収録されています。その中で原田さんがお薦めの美術館として北海道の中札内美術村を挙げていて、いつか出かけてみたい。中札内美術村ホームページ(六花亭ホームページの一部)