安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

山本真理子 HERE'S TO YOU

2014-03-12 21:30:37 | ヴォーカル(S~Z他)

先週の土曜日、愛知県犬山市のジャズ喫茶「Cots Field」で開催された、ジャズオーディオ・ディスク大賞を聴く会に行ってきました。同賞は、ジャズ批評誌上で行われている、選考委員によりオーディオ(録音)と音楽的にも優秀なアルバムを選出し、順位を付すイベントです。インスト、ヴォーカルそれぞれ、2013年の上位5位までの作品のそれぞれ1曲を解説とともにかけてくれました。それら以外にも、選考委員が紹介してくれたCDがあり、その中で山本真理子のものがよかったので、それを購入しました。

MARIKO YAMAMOTO (山本真理子)
HERE'S TO YOU (doLuck Jazz 2013年録音)

   Herestoyouyamamotomariko

オーディオに強い関心はないのですが、2013年に発売された新規録音のアルバムが聴けるということなので、片道約90分の道のりも苦になりませんでした。Cots Fieldのオーディオ装置のせいもあるかもしれませんが、入賞したものはクリアーで音がいいです。ただ、中には、ピアノの高音域などがきつ過ぎるものがあって、ピアノのメーカーの違いを考慮にいれても、ピアノ本来の音と違うと感じるものもありました。僕の年齢によるのかもしれませんが。

この山本真理子さんのファース・アルバムはなかなかよいです。彼女は、北海道出身で、東京を中心に活躍されているようですが、札幌市のジャズクラブ「デイ・バイ・デイ」オーナーで歌手の黒岩静枝さんに似た歌い回しがあったり、ブルージーさも持っていて、僕の好みにもあっています。

伴奏は、谷口純子(p)、佐藤忍(b)、田村陽介(ds)のトリオが基本で、曲によって、駒野逸美(tb)、平山順子(as)が加わります。曲は、スタンダード中心です。「Here's To Life」、「Black Coffee」、「It Had To Be You」、「Cry Me A River」、「I Can't Give You Anything But Love」(捧ぐるは愛のみ)、「The End Of The World」(この世の果てまで)、「Pennies From Heaven」(黄金の雨)、「Bang Bang」(バン・バン)、「Jeepers Creepers」、「Just in Time」、「生きてりゃいいさ」(河島英五作)、「The Good Life」の全12曲。

山本さんは、やや低めの落ち着いた声で、しっかりと歌っています。試聴会では、ジュリー・ロンドンのヒット曲「Cry Me A River」がかけられましたが、声そのものを聴くにもよい選択でした。遅めのテンポのものでは他に、「The End Of The World」や「Bang Bang」がよく、特に「Bang Bang」は力強い歌唱で、アン・バートンとは異なる個性が印象的。早いものでは、伴奏とも相まって「I Can't Give You Anything But Love」や「Jeepers Creepers」が軽快にスイングしていて楽しい。

【Coffee & Gallary Cots Field】

所在地:愛知県犬山市上坂町5-174
電話:0568-62-8139

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店内は撮影禁止なので、看板と建物の外観だけです。毎月1回ライブも行っているようです。


ビル・チャーラップ LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD

2014-03-09 10:34:11 | ピアノ・トリオ

飯田市に「川本喜八郎人形美術館」という美術館があります。夏に「いいだ人形劇フェスタ」が行われる当地では人形劇を好きな方も多く、関係者から薦められたので、初めて訪れてみました。川本喜八郎(1925~2010)は、アニメーション作家、人形作家で、一般にはNHK「人形劇 三国志」(1982~1984年放映)が知られており、この美術館には、その際に使用された人形などが展示してあります。精緻に作られた人形はまるでこれから動き出しそうで、しばし見入りました。細やかなニュアンスも感じられるライブ盤。

BILL CHARLAP (ビル・チャーラップ)
LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD (BLUE NOTE 2003年録音)

   Liveatthevillagevanguardbillcharlap

ビル・チャーラップ(1966年生まれ)は、コンスタントにアルバムを発表し続ける人気ピアニストです。アルバムにはスタンダード曲が多く収録され、親しみやすく、この初めてのライブ盤でも、曲目はスタンダードが中心です。繊細でニュアンスに富んだ演奏が多く、拍手が録音されていることによって、ようやくライブ録音だと分かるようなトラックもあります。

メンバーは、ビル・チャーラップ(p)、ピーター・ワシントン(b)、ケニー・ワシントン(ds)。この3人とも、引く手あまたのミュージシャンですが、歌の伴奏も多く手掛け、ハードバップに根ざした演奏をします。だから、CD購入の際に、彼らの名前がメンバーにあれば、極端なはずれはないだろうと考えて、選択し購入することもあります。

曲は、ジャズオリジナル3曲とスタンダード6曲です。ジャズオリジナルがジェリー・マリガン作「Rocker」、ジョージ・ウォーリントン作「Godchild」、ジム・ホール作「All Across The City」。スタンダードが、「Autumn In New York」、「The Lady is A Tramp」、「It's Only A Paper Moon」、「My Shining Hour」、「While We're Young」、「Last Night When We Were Young」。スタンダードでは、ハロルド・アーレンの作品が3曲取り上げられているのが目立ちます。

ライブではあるけれど、3人の緊密な演奏ぶりが伝わってくる作品。ワクワクするメロディで大好きな「The Lady is A Tramp」では、チャーラップ(p)の気の効いたイントロやP・ワシントン(b)のソロも楽しめます。「My Shining Hour」では、チャーラップが猛烈なスピードで派手に鍵盤を駆け巡り、K・ワシントン(ds)のブラシによるソロもライブならでは。きわめて遅いテンポの「Autumn In New York」は、秋の情景が見えてくるようなプレイで、磨き抜かれたピアノの音の美しさと繊細なサポートに心を奪われました。

 

 

 

【川本喜八郎人形美術館】

所在地:長野県飯田市本町1丁目2番地
電話:0265-23-3594
http:川本喜八郎人形美術館ホームページ

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美術館の外観です。一階は飲食店等が入っていて、2階が美術館になります。

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建物の右側から2階の入り口に向かい階段があります。エレベーターもあります。

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入館したところに飾ってある、諸葛孔明の人形。撮影はここだけが許可されています。


ソニー・スティット STITT PLAYS BIRD

2014-03-05 21:42:42 | アルト・サックス

ジャズ喫茶について考究した「ジャズ喫茶論」(マイク・モラスキー著、筑摩書房刊)という本を読みました。著者は、多くのジャズ喫茶店主へのインタビューをもとに、“ジャズ喫茶とは何か”、“新たなジャズ喫茶史へ”といった論考を書いています。訪問したお店のユニークな逸話も披露されていて、読み物としても面白く、ジャズ喫茶のファンとしては嬉しい本でした。ジャズ喫茶で聴きたいアルト奏者。

SONNY STITT (ソニー・スティット)
STITT PLAYS BIRD (ATLANTIC 1963年録音)

   Stittplaysbirdsonnystitt

ソニー・スティット(as)は、いろいろなレーベルでアルバムを作っていますが、このアトランティック盤については、録音から時間が経って発表されたこともあり、いま一つという評判で、LP時代には買う気がおきませんでした。しかし、今回CDが1000円で出され、ボーナス・トラックとして、「Now's The Time」も収録されていたので購入しました。

メンバーは、ソニー・スティット(as)、ジョン・ルイス(p)、ジム・ホール(g)、リチャード・デイヴィス(b)、コニー・ケイ(ds)。まるで、モダン・ジャズ・カルテットにスティットが客演したような形ですが、聴いてみるとスティットが吹きまくっていて、彼のリーダーアルバムに間違いはありません。

曲は、タイトルどおり、チャーリー・パーカーが演奏したものです。「Ornithology」、「Scrapple From The Apple」、「My Littel Suede Shoes」、「Parker's Mood」、「Au Privave」、「Ko-Ko」、「Confirmation」、「Hootie Blues」、「Constellation」がオリジナルLP収録の9曲で、そこに、「Now's The Time」と「Yardbird Suite」の2曲が追加されています。おなじみの有名バップ曲ばかりです。

スティット(as)がスピード感溢れるプレイを繰り広げています。リズム陣が、時にそぐわない部分はありますが、曲の魅力もあって、早く揃えればよかったものです。「Scrapple From The Apple」や「Confirmation」におけるスティットの一気呵成のアドリブには醍醐味が感じられます。また、CD追加の2曲は内容がよくて、アルバムの価値を高めています。「Now's The Time」は、テーマに続くスティット以下のアドリブが面白く、リチャード・デイヴィスのベースも効いており、「Yardbird Suite」は、バップらしさは後退するものの、調和のとれた演奏が楽しめます。

【ジャズ喫茶論(マイク・モラスキー著、筑摩書房刊】

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ジャズ喫茶ではなく、居酒屋(赤提灯)でのことですが、次の記述には、なるほどと思ったので、抜き書きしてみました。

“東京の居酒屋で私は普通「マイクさん」または「マイク」と呼ばれるのだが、歳をとったせいか、このごろは苗字の「モラスキー(さん)」で呼ばれることもたまにある。一方、どういうわけか関西では、苗字を省略して「モラさん」と呼ばれることが意外に多い。この呼び名にはまだ完全に慣れていないものの、実は気に入っている。なぜなら、「マイクさん」や、とりわけ呼び捨ての「マイク」に比べて馴れ馴れしくなく、それでも十分に親しみのこもった呼びかけ方だと感じるからである”


リタ・ホビンク LOVE ME OR LEAVE ME

2014-03-02 10:35:45 | ヴォーカル(L~R)

先週、東京に住む知人を案内して、車山高原スキー場に行ってきました。東京方面からの一行とは、諏訪インターで落ち合い、約40分でスキー場に到着しました。久しぶりのスキー場なので、ボードが多いことと、スキーでもストックを使わない人が増えたのにはびっくりしました。車山高原からの眺望は、八ヶ岳をはじめ雄大で、見ているだけですがすがしい気持ちになります。一行は皆大満足で、当夜の宴会は大いに盛り上がりました。気持ちのよい歌いぶりの歌手。

RITA HOVINK (リタ・ホビンク)
LOVE ME OR LEAVE ME (Decca 1969年録音)

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リタ・ホビンクは、1944年生まれのオランダの歌手ですが、リタ・ライスやアン・バートンに比べて知られていません。日本盤がなかったせいでもありますが、昨年Thinkレーベルから、このCDが復刻されたので、既にお聴きになった方もいると思います。彼女は、1960年代はじめに欧州駐留の米軍向けに巡業し、知名度が高まり、1962年にオランダに帰国後は、同国有数の歌手として活躍しましたが、1979年に若くして亡くなってしまいました。

メンバーは、リタ・ホビンク(vo)、ロブ・ヴァン・ダイク(p,org)、フェレ・キッカート(b)、エリック・グラバー(ds)、ウィム・オーヴァーハウ(g)、カール・ショルツ(vib)、ハーリー・バーべグ(ts)、シス・ヴァン・リア(fl)。ギター入りのカルテットが主に伴奏しますが、曲により、ヴァイブ、テナー・サックス、フルートが加わります。人選は、ホビンク自身が行ったとのことで、彼女の意気込みが伝わります。ことに、ダイアモンド・ファイヴのテナー奏者、Harry Verbek(ハーリー・バーべグ)のプレイが注目されます。

曲は、スタンダードと当時のヒット曲です。「Sofly, As In A Morning Sunrise」(朝日のようにさわやかに)、「Sunrise-Sunset」(サンライズ・サンセット)、「Love Me Or Leave Me」、「What A Wonderful World」(この素晴らしき世界)、「Don't Sleep in The Subway」、「After You've Gone」(君去りしのち)、「For Every Man There's A Woman」(男と女のある限り)、「Goodbye Charlie」、「Little Man You've Had A Busy Day」、「The Fool On The Hill」(フール・オン・ザ・ヒル)の全10曲。ペトラ・クラークやビートルズの曲も入っているので、幅広い方にアピールしそうな選曲です。

かなり楽しめるアルバムで、よくぞ復刻してくれました。彼女は、ややハスキーですが、落ち着いた非常に聴きやすい声で、テンポよく快調に歌っています。「Softly, As In A Morning Sunrise」では、ホビンクは次第に盛り上げていき、ヴァイブも好演。「Love Me Or Leave Me」では、意外にもゆったりとしたブルージーな歌いぶりがよく、「After You've Gone」は、ハーリー・バーべグ(ts)のソロも加わり、雰囲気がよく出ています。「What A Wonderful World」の押さえた表現や「Don't Sleep In The Subway」などポップス系統の快活な歌も聴きもの。

【車山高原スキー場】

所在地:〒391-0301 長野県茅野市北山3413
<nobr>電話:0266-68-2626
ホームページ:車山高原スキー場ホームページ</nobr><nobr>   </nobr>

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車山高原スキー場の入り口からの景色。</nobr>

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時間帯によっては、人が少なそうに見えますが、土日など多くの人でかなり賑わいます。</nobr>