花の香新酒を味わう会に参加した。
土井酒造場には準備に大童(おおわらわ)の人たち、今や遅しと「乾杯」を待ちかねるお客さんで賑わっていた。
風が少し吹いていて肌寒い中
「お待ちしておりました」
受付は、この言葉で迎えてくれた。
誰にもこの挨拶をしていたが、それぞれの客の心に入り込んだ。
私を待っていてくれたのだ、と。
もう気分は急上昇した。
この会で知り合った人を探して挨拶をした。
そして私のところにも挨拶しに来てくれた若者がいた。
嬉しかった。
親子ほどの年の違いは同じ目的の前には、ほとんど意味が無い。
正直言って去年の酒の出来と今年の出来の違いは分からなかった。
黄砂で山も霞むように私の味覚は、はっきりしない。
だが見え辛くても、そこに山があるように花の香が美味しくないわけはない。
安心して杯を傾ける。
やはり美味しい。
「本日のおしながき」をよく見ずに行動するとありつけないものがある。
私が手伝った三才豆腐の豆乳チーズケーキは、アッという間に品切れになったし、イチゴやキャンディトマトは姿すら見なかった。
また日本酒を飲むときに欠かせない水も用意されていたにもかかわらず飲めなかった。
初めて土筆(ツクシ)をいただいた。
頭から出てくる緑色の胞子も初めて見た。
「頭を取ってハカマも取って」 1本1本大事に作業を手伝った。
「旬の料理あまの」の大将が丁寧に手で揚げてくれた天ぷらだった。
裏切らない美味しさの花の香と料理。
再び会えることを楽しみにする友情。
いろいろなものを育む花の香楽会は私の人生に欠かせない