家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

穴窯

2010-03-28 07:17:00 | Weblog
友人宅を訪れた。

「裏にいるから見てみて」

奥さんの言葉に「何か意味がありそうだ」と感じた。

裏口から出ると黄色のユンボが目に入った。

「おーい。こんにちは」

「はーい。いらっしゃい」

作業を止めてこちらに向いた友人は笑顔だった。

友人宅の裏庭に彼が以前から言っていた「穴窯」をとうとう造り始めた。

私が彼の構想を聞いて大きな椎の木を切り倒したのは2007年8月の事だった。

その後もちょくちょく小さな木を切ったり移植したりしているのは知っていた。

その彼がいよいよ重すぎた腰を上げたのだ。

ユンボも友達から借りてあった。

「ユンボやれるの?」

「まぁボチボチ。見よう見まねで」と答えた。

不思議と陶芸家のときの顔よりも庭屋だったり土建屋だったりするときの顔の方が幸せそうに見える。

「今夜は大雨だっていうから」と言って、そそくさと掘り返した部分にブルーシートを掛けていた。

「ソヨゴあげるよ。持ってきな」

指差した方向に大きなソヨゴの木が根から抜かれて置いてあった。

ユンボがあるから可能になったことだ。

「ヴィッツに乗らないから要らないよ」と答えた。

軽トラにも乗りそうにないほど大きな物だった。

友人は意地悪そうな笑い顔を見せた。

丁寧な仕事ぶりは知っていたが何にでも同じようにやるものだ。

きっときれいな仕上がりの穴窯が出来上がるに違いない。