時間調整のため中古衣料の店に入った。
最近ファッションにお金を使わなくなった。
いやそれ以前に気を使わなくなってしまった。
ある種の老化現象であるかもしれない。
と共に必要性が乏しくなったことも事実だ。
韓国語教室と吹矢の練習では仲間と顔を合わせる。
しかし残りのほとんどが春野に行って作業している。
週のうち半分は人と会わない生活をしているということだ。
妻に誘われて入った店だが欲しい洋服などないと決め付けていた。
ハンガーにかかって並んでいる洋服をただ見て歩いていた。
「おや?」と気になったものがあった。
ニッカボッカだ。
職人たちが穿いているあれだ。
作業をするときに穿くと便利なのだが最近のニッカボッカは長すぎて、むしろ裾が邪魔になってしまう。
たまにコンビにあたりで未成年者丸出しの童顔に似合わないニッカボッカ姿を見る。
超ロングだの超超ロングだのといって売り出されているあれだ。
あれは要らない。
ところが見た物は昔風の物で長すぎない。
残念ながらウエスト74センチとなっていた。
「どれ。当ててみな」と妻に言われてニッカボッカを腹に当ててみた。
「穿けるよ」と言われ試着室に。
「穿けた」と嬉しくて声が出た。
580円支払って袋に入れてもらった。
これならブーツ(地下足袋)とも相性が良いと思う。
私のファッションセンスの方向性がまるっきり変わってしまったことを実感した。