母の妹(おばさん)を見舞いに行った。
母の兄(おじさん)が焼き芋を作って持っていった。
私が母と、おじさんを迎えに行ったときには、まだ出来上がっていなかった。
「お待たせ」と言って出てきたときには湯気が上がっていた。
それを持っていったのだ。
おばさんの部屋に入ると出来立ての焼き芋の良い香が部屋に充満した。
さっそく皆でいただいた。
おばさんは「お嫁さんが作ってくれたの?」と聞く。
「そうじゃないよ。兄さんが作ってくれただよ」と母が説明する。
おばさんは私の顔を見て涙が流れる合図をした。
私に遠慮しなくても普通に涙を流せばいいのにと思った。
涙を我慢させていると思うと申し訳なく思った。
掘りたての芋で焼き立てなのだからホクホクで美味しい。
「栗みたいで美味しい」と私が言うと
「まずい栗ぐれーのことはあるな」とおじさんは答えた。
兄と妹二人の会話が始まる。
オムツの話 大小便の話 物忘れの話
どれも私が聞いておきたい話題だ。
話題が、そんなんで私に申し訳ないと言う。
「明日は我が身だから勉強になるよ」
と言うと困った場合のことや辛かったときの話を続けた。
耳の遠いおじさんに質問するときには隣に座る私が通訳のように大きな声で伝える。
すると的確な答えが返ってくる。
頭の冴えた人たちだから聞いていても飽きることはない。
施設の昼食の時刻が近づいて部屋を出た。
私が、おばさんの車椅子を押した。
廊下を思い切り速く走ってみた。
「恐い怖い」と言うので止めた。
「嘘だよ」と言われた。
食卓に車椅子をセットするとき隣に歩行器で歩く女性がいた。
私が椅子を移動していると話しかけてきた。
話しながら、おばさんをテーブルに着かせていると名前を聞かれた。
「○○と申します」と言うと
「何かとお願いすることが、あるかもしれませんがよろしくお願いします」と言う。
「はい。分かりました」と答えた。
そんなたわいない会話が好きだ。