ドラッグストアーに行った。
妻とは別行動で春野で必要なインスタント味噌汁を探した。
それらしい売り場で専用台に乗って棚の上に商品を陳列していた店員のおばちゃんに聞いた。
「インスタント味噌汁はありますか?」
「はい。ちょうどこの裏側になります」
私は裏側に移動して、よく似た商品の中から目当ての物を探した。
「ふりかけ」「スープの素」読まなければ中身が分からない商品の多いこと。
「もっと右です」
突然棚の裏側から声が聞こえた。
さきほどのおばちゃんが棚の隙間から私を見て誘導してくれたのだ。
私は、おばちゃんの言うように左に移動して探した。
すると「もっと右です」と再び言う。
もっと左に移動した。
見当たらない。
「お客様から見て右です」と言う。
「あそう。私から見て右ね」
右に移動した。
「ありましたか?」 「見つかりましたか?」
「ちょっと待ってね」
と言って矢継ぎ早に聞いてくるおばちゃんの親切心を笑いながら商品を探している所に妻がやってきた。
「何しゃべっているの?笑いながら」
私の行動が、どう見ても変だ。
独り言にしては声が大きい。
誰もいない棚の前で笑っている。
少しおかしくなったと勘違いするのも当然だ。
「あっ、ありました。ありがとう」と言うと
「はい。ありがとうございました」と棚の反対側から声が届いた。
「ああ。向こう側と話していたのね」と妻も納得した。