10月中旬いつもの散歩道に桜の木が山積みされていた。
春には、きれいな花を付けるサクラだが枝が増えすぎて街灯を暗くしてしまっていた。
その枝を市から委託された業者が切り取って置いてあったのだ。
夜のうちに少し失敬しようとも考えたが「待て待て誰が見ているかも分からない」と思いとどまった。
誰に話せばもらえるのかと思案していた。
翌朝幸運は訪れた。
作業員達が片づけを始めていたのだ。
遠くに、その姿を見つけると、もう散歩の気分はどこかに消え去った。
複数の作業員達の中で責任者らしき人物に声を掛けた。
「この枝を少し分けてもらっていいですか?」と。
すると「残してもらっても困るものだから」と答えた。
「いえいえ少しだけですし邪魔にならない所で作業しますから」と言って承諾してもらった。
散歩を途中で中止し車を取りに帰った。
彼らが作業している少し先に車を止め後席を倒して積み込む準備をした。
まずは太い物で薪にちょうど良い長さに切ってある物を探した。
「なもんあるわけなかった」
重すぎて持てない。
長すぎて車に入らない。
細い枝を手で折って捨て中くらいの枝を捻り切って外した。
イチバン欲しかったのは絶対に人間では持てない大きさの切り株だった。
さて春野に運び込み適度な太さの枝でエモン掛けを作ってみた。
当初汚かった枝も金属タワシで擦ると見事に美しい肌が浮かび上がった。
灰色がかった肌は細かな削りクズを落として黒っぽい赤色に「ヘンシーン」した。
枝の真ん中に穴を空けて、その中に少し細い棒を通し、その上下にサクラの枝をくっ付けた。
上の枝はエモン掛けだからフックになっていなければいけない。
それらしいY字型を逆さにして使った。
ずいぶん無骨なエモン掛けの出来上がりだ。
枝だけ長めに切って磨いただけの物も作った。
妻が藍染めの展覧会にでも利用するだろう。
機能的にはプラスティック製の物に敵わないけど雰囲気だけは良い。
春には、きれいな花を付けるサクラだが枝が増えすぎて街灯を暗くしてしまっていた。
その枝を市から委託された業者が切り取って置いてあったのだ。
夜のうちに少し失敬しようとも考えたが「待て待て誰が見ているかも分からない」と思いとどまった。
誰に話せばもらえるのかと思案していた。
翌朝幸運は訪れた。
作業員達が片づけを始めていたのだ。
遠くに、その姿を見つけると、もう散歩の気分はどこかに消え去った。
複数の作業員達の中で責任者らしき人物に声を掛けた。
「この枝を少し分けてもらっていいですか?」と。
すると「残してもらっても困るものだから」と答えた。
「いえいえ少しだけですし邪魔にならない所で作業しますから」と言って承諾してもらった。
散歩を途中で中止し車を取りに帰った。
彼らが作業している少し先に車を止め後席を倒して積み込む準備をした。
まずは太い物で薪にちょうど良い長さに切ってある物を探した。
「なもんあるわけなかった」
重すぎて持てない。
長すぎて車に入らない。
細い枝を手で折って捨て中くらいの枝を捻り切って外した。
イチバン欲しかったのは絶対に人間では持てない大きさの切り株だった。
さて春野に運び込み適度な太さの枝でエモン掛けを作ってみた。
当初汚かった枝も金属タワシで擦ると見事に美しい肌が浮かび上がった。
灰色がかった肌は細かな削りクズを落として黒っぽい赤色に「ヘンシーン」した。
枝の真ん中に穴を空けて、その中に少し細い棒を通し、その上下にサクラの枝をくっ付けた。
上の枝はエモン掛けだからフックになっていなければいけない。
それらしいY字型を逆さにして使った。
ずいぶん無骨なエモン掛けの出来上がりだ。
枝だけ長めに切って磨いただけの物も作った。
妻が藍染めの展覧会にでも利用するだろう。
機能的にはプラスティック製の物に敵わないけど雰囲気だけは良い。