家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

市街地の弱肉強食

2011-11-17 07:53:02 | Weblog
午後4時半頃近所の川沿いを散歩していた。

シラサギが川面に飛来した。

続いて、その背後からシラサギより少し大きめの鳥が追いかけるように飛んでいった。

あっと言う間にシラサギを捕らえて川の中に着水した。

「おお。すごいすごい」と発しながら15メートルほど走った。

タカがシラサギを仕留めた瞬間を見たのだ。

水面に一羽の大きな鳥が浮かんでいるだけように見えた。

「なにがすごいのですか?」

私とすれ違ったオヤジが私のあわてブリを見て追いかけてきたのだ。

「あれはタカの類で水の中にシラサギを捕らえているのですよ」と教えた。

しばらくすると、それは証明された。

タカが獲物を持ったまま川に流れ込む水路に上がったのだ。

「本当だ」とオヤジも興奮気味だ。

「まだ生きていますね」

「そうね。頭を持ち上げているものね」

カラスが20羽ほど飛来して騒ぎ立てる。

一部は電線に留まり一部はタカの頭上を回る。

カラスの叫び声と数に「何事だ?」と犬の散歩の人たちは不思議がるが水路の出来事は見えていない。

タカが次の行動に移った。

シラサギの羽をムシっては吐き出した。

まだどうにか頭を持ち上げていたからシラサギは生きてはいた。

「あーあ。残酷だなぁ」とオヤジは言う。

「タカは、あれが生きる道ですからね。この町でそれが見られるなんてすごいですね」と私。

羽をむしられた直後シラサギは動かなくなった。

タカはシラサギの身体の掴み具合で死の直前のタイミングを感じ取っていたのかもしれない。

「逃げない」というより「喰える」瞬間を待っていた。

水路は滑りやすく何度も獲物ごと上に引き上げた。

そのころカラスは一羽もいなくなって現場は静かなタカの食事タイムとなっていた。

「いやー、いい物見せてもらった」と言ってオヤジは去っていった。

私はなおも見続けた。

目と鼻の先である自宅に戻ってカメラを撮ってこようと何度も考えた。

しかし目を離せない。


続く