日本がやっとハッカー対策を本格化するのだそうです。と言ってもその規模は世界とは比べものにならないようです。
それにしても、日本はどうしてITの世界でこれ程までに世界の後塵を拝することになったのでしょう。ハードには強いがソフトには弱いのは信実かもしれません。
宮崎さんが、取り上げてくれています。とは言え、どうも世界に伍するなんてことは到底望めないようです。
ここら辺りにも性善説が影響しているのかもしれません。やはり、内外で付き合い方を変えるというのは日本人には苦手のようです。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和三年(2021)7月5日(月曜日)
通巻第6974号
日本、周回遅れだが、ハッカー対策を本格化
警視庁400名、自衛隊800名。かたや中国のハッカー部隊は20万人
中国のハッカー部隊は、20万人以上と推定されている。軍のシステムが複雑に交錯しているので、実数の算定はむずかしいけ れど、上海の軍事関連の或るビルが、その本拠であると米国情報筋は認定している。
くわえてネットには共産党の指示に従って書き込みの下請けをする「五毛幇」(「五毛党」ともいう)が百万人以上いる。一通に つき、五毛(8円)、一日四百通ほど打てば、適当なアルバイトになるため失業中の若者や学生が小遣い銭稼ぎをしている。
欧米や日本、豪、カナダなどでハッカー攻撃が相次ぎ、企業から身代金をデジタル通貨で要求する犯罪が横行している。それを 現金化する闇市場も中国にある。
おもに中国、ロシア、北朝鮮などの組織で、表に出た被害だけでも巨額だが、被害を公表しない企業や公的機関を含めると、氷山 の一角に過ぎないことも分かっている。
警視庁はエキスパート、ITスペシャリストなどを集め、22年度中に400名程度の新組織を目指している。
防衛省も、22年度に「自衛隊サイバー防衛隊」を立ち上げ、今年度末に800名体制とする。いずれも来年の話である。
基本的にハッカーの防御とは、攻撃と表裏一体なのである。
日本の法律体系は「専守防衛」が象徴するように、防御側が先制攻撃を仕掛けたり、犯罪組織にハッカー攻撃をすることが出来な い。犯罪組織にハッキングを掛けて、実態を解明する方法が採られない限り、防御には限界がある。関連法の改正が急がれるのだ が、政界、官界にその動きの兆候さえ見られない。
▲暗号通貨はハッカー犯罪の温床なのか?
世界に流通している暗号通貨は300種類以上もあるとされ、その時価総額は、150兆円を超える。
ビットコインなど「暗号通貨」は採掘に大量の電力が必要となる。これを戦争のカテゴリィで考えれば、発電所攻撃、送電線攻 撃がハッカー犯罪防御の物理的に有力な手段である。
6月23日にBIS(國際決済銀行)は「中央銀行発行のデジタル通貨」報告書をまとめたが、資金洗浄犯罪を防ぐためにID 認証の必要性を唱え、また「ビットコイン」「ビッグテック」は公益に反する傾向があると警告した。
ところが警告を無視するかのように中国の採掘業者は、電力の安い米国テキサス州へ殺到しているという。たとえば、中国の 「BITマイニング」は57メガワットの採掘施設を建設するために、30億円を投じる。
中国政府はビットコイン規制を厳格化しており、取引所の閉鎖が相次いでいる。中国がマイニングを規制する理由は電力節電と 言われるが、裏の目的は人民元のデジタル化にとって最大の障害となるからである。
テキサスは資源が豊富であり、全米の人口動態を見ると、とりわけシリコンバレーからテキサス州オースチン市への移転が顕著 だ。
家賃の高いカリフォルニア州より、テレワークが主流となって、在宅勤務OKとなれば、テキサス州へ移住するという現象がお こった。しかし、2月の寒波による大停電が発生し、そのうえテキサス州は電力ビジネスが自由化されているため、電気料金が急 騰した。
英米ならびにEUの一部では暗号通貨への規制が強化されており、英国は「バイナンス・マーケット」社の事業を禁止した。
このバイナンスマーケッツは無登録営業だったため、マネーロンダリングの温床になると警告を発してきた問題企業である。同様 な措置をカナダと日本もとっている。米国はバイナンスの捜査に踏み切っている。とくに米国は一万ドル以上を暗号通貨で送金す る場合は、当局への報告を義務づける方針を固めた。
バイナンスは謎の香港籍人、ジャオ・チャンポンが2017年に香港で起業し、手数料0・1%、世界300の暗号通貨を取引 するとあって、利用者は1000万人を超えている。
この世界の凄まじさは、やはり日本人には到底歯が立たないのじゃないでしょうか。余りにも素晴らしい国に育った最大の弱点かもしれません。
これを何とか克服しない限り日本の再生は無理でしょう。