明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



『中央公論Adagio』次号用作品も佳境に入りつつある。背景はすでに完成している。いつもと違い、主役の人物像が最後になった。先日オカダヤで購入した布地をズボンにする。都営地下鉄駅に置かれるフリーマガジンなので、当然背景は都内ということになるが、都内でこんな特殊なズボンを穿いてる人間などいるわけがない。 アダージョの場合、特集人物にちなんだ都営地下鉄駅周辺が背景になるが、ちなんだ場所といっても、中にはたった3ヶ月住んだだけ、とか、その場所の天麩羅屋でエビ天を何十本食べただけ、などという場合もある。昔は人の集まり住む場所も今より限られており、ちなんだ場所を選ぶにも苦労するわけである。 亡くなって年月が経っている人物は、現代の風景に立たせること自体が難しい。そのためには、違和感を緩衝させる物、あるいは違和感に違和感を上塗りし、違和感をもって違和感を制する方法があるだろう。この人なんでここに?というところから目をそらそう、という企みともいえる。もっとも次号の人物は、妙なズボンでも穿かせないと本人に見えない、という理由もあり、当然、本人が穿いていた物を参考にしている。今回の脇役、というより準主役は、すでに背景の中に収まっており、御主人様?の完成を待っている。

01/07~06/10の雑記
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