明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



有名なテクニカラーのバレエ映画『The Red Shoes』(英アーチャーズ)(1948)日本初上映時のパンフレットを入手。監督マイケル・パウエル/エメリック・プレスバーガー 。カメラ:ジャック・カーディフ。出演:モイラ・シアラー、アントン・ウォルブルック 、マリウス・ゴーリング 、ロバート・ヘルプマン、レオニード・マシーン 。 当初ニジンスキーの伝記映画として企画されたようであるが、アンデルセンの、赤いバレエシューズを履いた女の子が踊りはじめたら永久に踊り続けなければならなかった、という童話『赤い靴』に基づいたストーリーとして制作された。ウォルブルック演ずるレルモントフバレエ団のレルモントフは、あきらかにディアギレフのイメージである。才能を見込んだ若き作曲家と、モイラ・シアラー演ずるバレリーナが結婚すると聞き、バレエ団がお祝いムードの中、一人眉をひそめ、すぐに作曲家をクビにする。一緒に旅立とうとするシアラーを、ダンサーとして一流になる道を捨て、ただの主婦になるのか、と説得するがシアラーは去っていく。このあたりは、ディアギレフに黙って結婚して即クビになったニジンスキーのエピソードを思わせる。『赤い靴』では踊る機会を失ったシアラーがバレエを選び、戻ることになるが、出番の直前、男を追い転落死する。バレエ・リュスのディアギレフの場合は、スターであるニジンスキーが不在では評判も芳しくなく、しぶしぶ一時雇い入れるが、許すことなく結局は縁を切る。ニジンスキーの後釜として入団し、ディアギレフの寵愛をうけることになるレオニード・マシーンが、ダンサー兼振り付師役で出演している。美しい40年代のモンテカルロの風景など見所は多いが、なんといってもハイライトは、14分に及ぶ圧巻のバレエシーンである。 パンフレットには、諸名家として、双葉十三郎、大黒東洋士、岡俊雄、野口久光、飯島正、植草甚一、谷桃子の賛辞が寄せられている。辛口で知られた評論家も絶賛しているが、植草などは「私がいちばん強く感じたことは、バレエの世界にとびこんだら、一生のあいだ、足が洗えなくなってしまうだろう、ということだった」と書いている。広告には少女時代の鰐淵晴子の顔で大東紡織株式會社『てまり毛糸』、アルサロNo,1銀座2丁目電停東入ル『赤い靴』、英国リンガフォーン協会日本代表者 日本語学学校教育協会など。

01/07~06/10の雑記
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