明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



アダージョ次号用作品完成。今回は背景その他を先に終え、主役の人物が最後になった。今回の脇役は動物である。ジッとしているような物ではないので、先に撮影しておいて、すべてをそれに合わせるほうが間違いがない。仮に動物を撮影した日が曇天なら、背景も、最後に加える人物像も、曇天の調子で撮影しなければならないからである。 脇役といっても、今回は主役クラスの扱いだが、問題は、この“純毛”である。 太宰治の時、すぐ隣りに本物の女性を配したので、太宰の頭髪があまりに粘土なのが目立ち、入稿日の朝、急遽ベランダから頭を突き出し、デジカメで自分の髪を撮影して移植した。今回は人毛ではないが周囲に毛が多い。 特に日中の日が高いときの撮影は光線の加減から避けるべきだが、アダージョの場合、どうしても昼の明るい時間が多くなる。人間の髪の質感というのは、こんな条件では、粘土では難しい。特徴的なヘアースタイルでもあるので、今回も奥の手を使うことにした。 自分の髪など、わざわざフィルムを使うほどの物ではない。こんな部品を撮影するため買ったコンパクト・デジカメだったが、花見で失くしたので、アナログで撮るしかない。三脚をそえて撮ればよいが、階下に住むYさんが在宅なら軽く撮ってもらおうと電話してみた。「また自転車倒れた?」自転車が倒れて玄関を塞ぎ、救出してもらったことをいっている。屋上に出て、あとで切抜きやすそうな背景で、数パターン撮ってもらった。 今回は画面が賑やかなので要らないと思ったが、ネガを時間かけて探し出したので、こっそり目立たぬところに鳥を一匹配した。 私は常にやりすぎの傾向があり、できるだけ薄くしたいのだが、今回は、このぐらい違和感を導入しないと、このテーマの違和感は埋められなかった。と改めて思ったのであった。

01/07~06/10の雑記
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